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西口彰子ソプラノリサイタル 開催レポート
《東京藝術大学同声会コンサートシリーズ Vol.10》
2010年
7月24日(土) 14:00開演(13:30開場)
主催:カワイ音楽振興会

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 7月の猛暑は表参道にも容赦なく襲いかかります。オアシスを求める気持ちでパウゼへ向かいました。本日は、現在ニューヨークのマネス音楽院に留学中の西口彰子さんのソプラノ・リサイタルです。満席となった会場には、声楽関係の方々、同級生の方々、地元から応援に駆けつけた方々が多く見えました。ステージにはお花が大きく生けられていて、とても華やかです。

 黒いドレスで華やかに登場した西口さん。まずはヘンデルのオペラ《アルチーナ》からモルガーナのアリア〈笑っていても〉で美声を聴かせてくれました。続くラモーのトラジェディ・リリック《イッポリートとアリシー》よりアリシーのアリア〈恋する鶯〉では、華やかな装飾音を鳥の甘いさえずりのように聴かせてくれました。次からは、フランス近代の作品をセンスよく歌っていきます。その表情の豊かさは、オペラを見ているかのようです。ドビュッシーの歌曲では特に、神秘的な〈月の光〉、コミカルな部分と憂鬱な表情が対照的な〈パントマイム〉で見せた西口さんの魅力に、客席一同引き寄せられました。

  さて後半は純真な白のドレスに衣装替えしての登場です。團伊玖磨の《美濃びとに》の全曲演奏は、格別のものでした。「うたはただ ほのぼのとの よいにおいでの ―それはさびしい魂のほほえみでの そうありたいと思うがの―」といった北原白秋の素朴な歌詞が、有無を言わせず体にすっと入ってきたのを感じました。それは声量も表現も突出して豊かだからなのでしょう。この後ピアノ独奏(津島圭佑さん)がありました。ドビュッシーの《夢》は透明感にあふれていて、インテルメッツォとして心を落ち着かせる時間にもなりました。最後の曲目は、西口さんがニューヨークで特に力を入れて研究したというオペラのアリアです。トマの《ハムレット》はシェイクスピア原作の恋愛悲劇。二重唱ではバリトンの吉留倫太郎さんとのちょっとした演技もついて、会場が一瞬にして劇場になるほど迫るもののある演奏でした。吉留さんはハムレットのアリアでも豊かな表現力を披露。最後のオフィーリア狂乱のアリアでは、西口さんは狂気ならではの変化に富む表情を見せ、客席を完全に魅了しました。

 今後も引き続き、ニューヨークで声楽の勉強を続けるとのこと。今回のあまりに素敵な演奏で満足してしまいましたが、もっと磨かれた西口さんの歌声をまた聴かせて頂きたいと思いました。

(T.)

  

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