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梅村知世 ピアノリサイタル 開催レポート
《2009年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ 》
2010年7月23日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 本日の≪2009年日本音楽コンクール入賞者シリーズ≫は、梅村知世さんのリサイタルです。梅村さんは、現在東京藝術大学4年に在学する傍ら、若手ピアニストとして精力的にご活躍されています。今回は、J.S.バッハからスクリャービンまでと幅広く大曲ばかりで構成されたプログラム。会場には多くの方々が駆け付け、梅村さんへの期待の高さが伺われます。

 爽やかなブルーのドレスで登場した梅村さんが最初に演奏されたのは、J.S.バッハの≪平均律クラヴィーア曲集第 I 巻≫より「第22番変ロ短調BWV.867」。オルガンの響きを彷彿とさせる音色で祈るようにしっとりと弾かれ、会場中を荘厳な空気で包み込みました。

 続いて演奏されたのは、ベートーヴェンの≪ソナタ第13番変ホ長調Op.27-1「幻想」≫。温かく語りかけてくるような第一楽章、情熱的で厳格な第二楽章、優しく伸びやかに歌われていた第三楽章、そして、パワフルで若々しさと緊張感に満ちた第四楽章。全体がバランスよく構成され、和声の繊細な変化を大切にひとつひとつ丁寧に演奏されていました。

 前半最後は、スクリャービンの≪ソナタ第3番嬰ヘ短調Op.23≫です。悲劇的で深い嘆きが感じられる第一楽章から始まり、切迫したような第2楽章、クリアな音色で瞑想的な第三楽章、駆け巡るような第四楽章と、全身で音楽の世界を表現していきます。スクリャービンの精神的な苦悩が手に取るほどに伝わってくるような演奏は圧巻でした。

 休憩を挟み後半は、今年生誕200周年を迎えるシューマンの≪幻想曲ハ長調Op.17≫です。情熱的で、各場面の移り変わりが巧みであった第一楽章、勇ましく華やかに演奏された第二楽章、温かく深みのある音色で、調性ごとにさまざまな表情を見せ、幻想的であった第三楽章。それぞれ、鮮やかなテクニックばかりでなく、物語性に溢れ、まるで小説を読んでいるような気にさせてくれるような演奏に、思わず引き込まれてしまいました。

 鳴りやまない拍手に応え、アンコールにシューマンの≪トロイメライ≫とリスト編曲の≪献呈≫が演奏され、盛大に締めくくられました。

 梅村さんの、さまざまな時代の作品を弾きこなす素晴らしいテクニックと音楽性、作品の背景が鮮明に思い浮かんでくるような演奏は、作品の持つ魅力を改めて感じさせてくれる素晴らしいものでした。更なるご活躍を期待しております。

(K.S.)

 

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