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クロイツァー記念会 第34回例会
クロイツァー賞受賞者による演奏会 開催レポート
2010年7月2日(金) 19:30開演
主催:クロイツァー記念会
会場:
津田ホール

 

 「クロイツァー賞」は日本の音楽界に多大な功績を残された故レオニード・クロイツァー教授の名にちなんだ賞で、毎年「東京藝術大学」「国立音楽大学」「武蔵野音楽大学」及び同大学院ピアノ専攻修了生のなかから特に優れた成績をおさめた人に贈られます。過去の受賞者のなかには現在音楽界で活躍されているピアニストも多く、非常に栄えある賞だといえます。本日、その受賞者による演奏会が千駄ヶ谷の津田ホールで開催されました。

 2009年の受賞者は岡田梨沙さん(国立音大)、津田裕也さん(東京藝大)、阿久澤政行さん(武蔵野音大)の3名。大変残念なことに、岡田さんは急病のため演奏会に出演できなくなりましたので、津田さんと阿久澤さんのお二人によるコンサートとなりました。どちらも充実した大曲1作品のみ、プログラムからも自信と意気込みが感じられます。どのような演奏を聴かせてくださるのでしょうか。楽しみに開演を待ちました。

 照明が落とされ、津田さんが登場、弾き始めたのはシューベルトの《ピアノソナタ》変ロ長調D.960。シューベルト最後の長大なソナタです。第1楽章の「天上の世界」を彷彿させる世界が優しい響きで広がっていきます。深い悲しみに沈むかのごとき第2楽章、軽やかな踊りのような第3楽章、様々な世界が交錯しながらも最後に高揚していく第4楽章と、この大作を瑞々しい感性で弾き切りました。全体的に優しいピアニッシモの響きが際立ち、津田さんの音色へのこだわりが感じられる演奏でした。

 休憩をはさみ、後半は阿久澤さんによるムソルグスキーの《展覧会の絵》です。冒頭からクリアな音で旋律を弾き、エネルギッシュに曲が進んでいきます。ダイナミックな演奏からは、阿久澤さん自身が演奏を楽しんでいる様子がありありと伝わってきました。次々と移り変わる音楽は、まるで絵画を実際に見ているかのよう。最後、「キエフの大門」の豪快な和音を鳴らし切り、圧倒的な演奏で曲を締めくくりました。

 最後にお二人がステージに登場、この二人の若きピアニストに客席からは盛大な拍手がおくられました。お二人が演奏された作品は、曲の性格は異なりますが、どちらもテクニック、音楽性、体力など、音楽家として実に多くのことが要求される難曲です。これらの作品を完成度の高い演奏で弾き切ったことは大変価値あることですし、ご自身の今後の活動への自信へとつながることでしょう。お二人の今後の更なる飛躍を予感させる、そんな演奏会でした。

(M.S.)

  

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