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久元祐子 ピアノ演奏法講座 開催レポート
『続・一歩上を目指すピアノ演奏法』第5回(全5回シリーズ)
「ショパン II 」
2010年11月8日(月) 10:30開演(10:30〜12:30)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 毎回大好評を博している久元祐子先生の『続・一歩上を目指すピアノ演奏法』も本日で最終回を迎えます。会場には、ピアノの先生方を中心とする多くのお客様が集まり、熱心にメモを取りながら先生のお話に耳を傾けておられました。

 今回のテーマは、前回に引き続き「ショパン」。取り上げられた曲目は、《マズルカOp.59》(全3曲)と《エチュード》よりOp.10-3「別れの曲」、Op10-12「革命」、Op.25-1「エオリアンハープ」です。

 レクチャーは先生の実演だけでなく、ピアノの横に設置されたスクリーンで先生の手元が映し出され、タッチや手首の動きなどが見えるようになっており、非常にわかりやすいものでした。

 前半は、《マズルカOp.59》について。この作品では、フレーズのつなぎ目がトリルやレガート、タイなどによって旋律が自然に持続するように巧妙に作曲されていることや、旋律が繰り返される時、聴き手が退屈しないように違う和声がつけられており、おしゃべりをしているようにトーンを変えながら明暗のコントラストを出していることなど、演奏者はこれらの楽譜から読み取れるポイントをしっかりと把握し、タッチやペダルを注意深くコントロールし表現していくことが求められ、ディテールを磨くことがショパンの演奏の向上へつながることを説明してくださいました。また、マズルカは、ショパンの作品ジャンルの中で、旋律はシンプルなのに対し、和声が最も複雑に作曲されているようで、細かな転調や、曲の最後に登場するクライマックスでは特に、和声が複雑な動きを行っていくため、指導者は学習者に属和音から主和音へ行くカデンツの感覚を掴ませることが大切とのことでした。

 後半は《エチュード》です。「エオリアンハープ」では、転調やデュナーミクによる色合いの変化や、風が吹くように、アルペジオの伴奏となる部分はタッチやペダルを使い分け柔らかくぼかすような音色の変化をつけることなどを。「別れの曲」では、各声部の動きを味わい、拍節の横の流れを感じながら、歌える範囲のテンポで演奏することや、美しく歌わせるには小指の外側の筋肉を必要とすることなどを。そして「革命」では、左手の16分音符によるパッセージはアクセントに重みをつけたり、ペダルの遊びに足を置き足先で細かく踏むバイブレーションペダルなどを用い、波打つように情念の恐ろしさを表すこと、中間部の8分音符のバスの音などの低音は苦悩を表していることなどを説明してくださいました。いずれの作品もフレーズやデュナーミクなどの指示、タッチ、ペダルなどに細かい注意を払うことが求められるのではないでしょうか。

 ショパンの歌わせ方、軽やかさ、しなやかさなどの演奏法を学ぶには、彼の実際の作品を用いるとよいとのことでした。

 最後の質問コーナーでは、受講者の方々から演奏法やペダルのことなどの質問が寄せられ、熱心なやり取りが行われました。

 今回が最終回となる久元先生の『続・一歩上を目指すピアノ演奏法』。「今後も続けてほしい」という声が多数寄せられ、来春より続編が行われることが決まりました。テーマは未定ですが、非常に楽しみです。

(K.S.)

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