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久元祐子 ピアノ演奏法講座 開催レポート
『続・一歩上を目指すピアノ演奏法』第1回(全5回シリーズ)
「ベートーヴェンとシューベルト」」
2010年6月29日(火) 10:30〜12:30
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 2009年11月から始まった『一歩上を目指すピアノ演奏法』は、久元祐子先生による実演付きのレクチャーで、全5回にわたって開講されてきました。この講座が大好評だったことを受け、その続編が今日から開講されることとなりました。今回取り上げる曲は、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ》第8番ハ短調「悲愴」 、《ピアノ・ソナタ》 第24番 嬰ヘ長調 「テレーゼ」第1楽章 、それにシューベルトの《楽興の時》第3番ヘ短調です。会場にはピアノの先生を中心に多くの方々が集まり、持参した楽譜やノートに書き込みながら、熱心に久元先生のお話に耳を傾けていました。

 久元先生のアドヴァイスを要約すると、「楽譜に書かれたことをしっかりと読み取り、それを手掛かりに自分の表現を創り上げる」ということに尽きると思います。新しい曲に取り組む際にまず重要なことは、曲の大まかな性格(楽しい曲、悲しい曲など)を把握することです。曲の性格により、演奏者が発する音色も「重い音、軽い音、暑い音、冷たい音」というように色々変わってきます。それでは、楽譜から曲の性格を判断する材料は何かといいますと、曲のタイトル、調、速度記号などです。これらを手掛かりに曲の大まかな性格を判断したうえで、徐々に自分ならではの表現を創り上げていくのです。

 《悲愴ソナタ》の場合、「ハ短調」の悲劇的な色彩を感じることがまず重要となります。また、強弱記号を読み取り、全体の流れを考えて表現することも大事です。学習者はどうしても曲を全力で弾きがちですが、そうすると本来強く弾くべきところで盛り上がりに欠けてしまいます。曲全体の設計図を頭のなかに描き、抑えるべきところと盛り上がるところを弾き分けることで、「一歩上の演奏」が実現できることと思います。「この曲にはどんな表現が求められているか」を考えて練習に取り組むことにより、冒頭の強烈な和音から表現が変わってくることでしょう。

 続くシューベルトの《楽興の時》第3番とベートーヴェンの「テレーゼ」ソナタでも、調性を理解して曲全体の性格を理解すること、不協和音とその解決を意識して表現することなどを説明されました。このように曲ごとに重要なポイントをわかりやすく、実演を交えながら説明してくださったので、曲を勉強するときに何を重視すればよいかということがより明確になりました。そしてこのことはレッスン時における生徒への的確なアドヴァイスへつながることと思います。レクチャー後、受講者は個人的に久元先生に色々ご質問などされ、理解を深められていたようです。   

 この講座は主にピアノ教師を対象としておりますが、ピアノ学習者や音楽愛好家の方々にとっても得るものが多い内容だと思います。次回以降取り上げる作曲家は、メンデルスゾーン、シューマン、ショパン。人気の高い作曲家ばかりで、見逃せない内容ですね。こちらも今から楽しみです。

(M.S.)

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