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高橋和歌(ヴァイオリン)田中良茂(ピアノ)究極の二重奏ソナタの夕べ 開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.9》
2010年6月16日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 今回で第9回目を迎える桐朋学園 表参道サロンコンサートシリーズ。本日は、現在精力的に活躍されているお二人の演奏家ヴァイオリニストの高橋和歌さんとピアニストの田中良茂さんによるデュオリサイタルです。「究極の二重奏ソナタの夕べ」と銘打ち、プログラムはドビュッシーとリヒャルト・シュトラウスのソナタを中心に構成されていました。

 最初は、チャイコフスキーの≪ピアノとヴァイオリンのための「なつかしい土地の思い出」Op.42≫で幕が開き、ピアノの安定した伴奏に支えられ、伸びやかに、息が長くたっぷりと歌っていく演奏に思わず魅了されました。

 続いて、お二人によるトーク・コーナーです。今回のリサイタルのテーマと曲目は田中さんのご提案で、ドビュッシーとシュトラウスの作品はヴァイオリンとピアノのためのソナタで頂点を極めたものなのでとりあげられたとのことです。また、冒頭に登場したチャイコフスキーについては、若い頃のドビュッシーが自作を彼に送り、評価を求めていたというような関係があるそうです。続いて高橋さんが、2つのソナタの特徴を料理に例えられ、ドビュッシー作品は、だしや調味料の味が控え目で素材そのものの味を楽しむ和食の懐石料理のようなもので、一方、シュトラウスの作品は、同じく素材の味を楽しむが、和食よりも味がはっきりとしたフランス料理のようなものであると説明されていました。なるほど、非常にわかりやすい例えです。 

 これらのお話の後に演奏されたのは、ドビュッシーの≪ヴァイオリンとピアノのためのソナタ≫です。彼の最後の作品であるだけに、独特な和声感や、繊細で漂うような雰囲気が、幻想的に表現されていました。まさに「懐石料理」という言葉がぴったりです。

 後半は、シュトラウスの≪ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 変ホ長調Op.18≫です。ドビュッシーと同時代の作曲家であるのに、かっちりとした形式感や、ロマン派的なメリハリのきいた曲想など、性格はまったく対照的です。お二人ともうまく調和しながら、全身で音楽そのものになりきっているような演奏は圧巻でした。

 鳴りやまない拍手に応えアンコールでは、数日前に亡くなられた高橋さんのお母様に捧げられるということで、マスネの≪タイスの瞑想曲≫が演奏されました。それまで聴いたことのないような純粋で美しい演奏は心の琴線に強く触れるものがあり、会場の皆さんは涙を流しながら聴き入っておられました。

 高橋さんの伸びやかなヴァイオリンと田中さんのヴァイオリンの魅力を最大限に引き立てるピアノによる二重奏は実にすばらしく、プログラムもたいへん充実しており、素敵なリサイタルでした。またお二人の演奏が聴ける日を楽しみにしております。

(K.S)

 

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