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華麗なる PIANO QUARTET Vol.6 開催レポート
2010年
6月15日(火) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 「華麗なるPiano Quartet」は、高木和弘さん(Vn)、飛澤浩人さん(Vla)、小川和久さん(Vc)、稲田潤子さん(Pf)という4名の実力派奏者が、ピアノ四重奏の魅力をお届けしていく演奏会のシリーズです。これまで数々の質の高い演奏で好評を博してきたこのシリーズも、本日で6回目を迎えることとなりました。今回は、ベートーヴェン、モーツァルト、シューマンというドイツ語圏の大作曲家の作品による、本格的なプログラムです。今回も4人の演奏を楽しみに、「パウゼ」には大勢のお客さまが集まりました。

 気さくな笑顔を浮かべながら登場されたヴァイオリンの高木さん。まずはユーモアを交えながら、演奏曲と、作曲家の生きていた時代背景などを分かりやすく解説して下さいました。演奏者自身がお話をされたということが、次からの演奏をより近づきやすいものにしていたようです。

 演奏は、ベートーヴェンの《ピアノ四重奏曲》変ホ長調作品16から始まりました。シンプルな書法による初々しい音楽が、さわやかな響きで会場に広がります。度々同じメンバーで演奏しているだけあって息はピッタリで、まるで仲のいい4人が対話しているかのような印象を受けました。

 続いての曲は、モーツァルトの《ディヴェルティメント》変ホ長調K.563。弦楽器の3人による演奏でした。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという編成での演奏はあまり聴く機会がないのですが、ヴァイオリンがもう1人多い「弦楽四重奏」のスタイルと比べて軽く、すっきりした響きが印象的でした。宮廷のなかで貴族が娯楽として聴いていたであろう音楽を、演奏者の3人も楽しみながら演奏されていたようです

 休憩をはさみ、プログラム最後はシューマンの《ピアノ四重奏曲》変ホ長調作品47です。今年はシューマン生誕200年ということもあり、シューマンの室内楽中特に傑作の1つとされているこの作品は今年に入ってますます多くの演奏会で取り上げられているようです。筆者も演奏会でこの作品の演奏を既に何回か聴く機会がありましたが、今回の4人の演奏もまた大変素晴らしく、感銘を受けました。この作品の白眉はなんといってもシューマンが妻クララに捧げたといわれている第3楽章で、美の極致ともいえる旋律、そしてハーモニーに会場全体が引き込まれていたように感じました。その他の楽章も、緊迫感に満ちた熱演で、演奏を終えた4人に会場からは盛大な拍手がおくられました。

 魅力的なプログラムと質の高い演奏、そして4人の奏者が織りなす絶妙なハーモニーを存分に味わうことができた、楽しい演奏会でした。次回はどんな四重奏を届けて下さるのか、今から楽しみです。

(M.S.)

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