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根津理恵子 ピアノリサイタル開催レポート
「ショパンをめぐる作曲家たち」Vol.10 〜最終回〜
2010年
5月15日(土) 14:00開演( 13:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:銀座・王子ホール

 

 現在、ポーランドを拠点に活躍中の若手ピアニスト根津理恵子さんの「ショパンをめぐる作曲家たち」シリーズ。2002年に開始以来、毎回好評を博しているこのシリーズも最終回を迎えました。今回は、ショパン生誕200周年、そして根津さんのデビュー10周年ということで、根津さんがピアニストとして正式なデビューを果たされた王子ホールにて開催されました。ホールには、開場前にもかかわらず、すでに長蛇の列ができており、今回のリサイタルへの期待の大きさが伺えます。

 プログラムは、モンポウ、パデレフスキ、フィールド、ショパンと盛りだくさんの内容で構成されており、楽しみに開演を待ちました。

 シルバーのドレスで登場した根津さんが最初に演奏されたのは、「スペインのショパン」とも言われるモンポウの≪歌と踊り≫より第7曲と、≪内なる印象≫より第9曲「ジプシー」。ラテン系のきらきらとした響きと、優しく心温まる音色が会場を包み込んでいきます。

 続いて演奏されたのは、根津さんが2004年にパデレフスキ・コンクールで入賞された際に、パデレフスキ作品最優秀演奏賞を受賞された曲、≪ピアノ・ソナタOp.21≫です。情熱的で荒れ狂うような第一楽章、幻想的な響きが印象的であった第二楽章、駆け巡るような第三楽章。見事なテクニックと聴き手に訴えかけてくるような音楽性、エネルギッシュでダイナミックな演奏に圧倒されてしまいました。

 後半は、ノクターンの創始者であるフィールドの≪ノクターン第12番≫で始まりました。32分音符の波打つような伴奏に乗せて、宝石をちりばめたような可憐なメロディが歌われ、素朴ながらも愛らしい一曲でした。

 続いてここから、このシリーズのメインであるショパンの登場です。最初に演奏されたのは、≪2つのノクターンOp.62≫。羽が舞うようなパッセージ、瞑想するようにゆったりとした歌い回しはとても美しいものでした。

 そしてプログラム最後は、バラードが2曲演奏されました。悲劇的でありながらも若々しいエネルギーに満ちた≪第1番Op.23≫と、何か新しいことへ向かって前進しているような生命力が感じられた≪第4番Op.52≫。いずれも、多彩な音色と物語性に富んだ深い解釈が印象的でした。

 鳴りやまない拍手に応え、アンコールにパデレフスキの≪メロディ≫とショパンの≪ワルツ第5番≫が演奏され、さらに聴衆を魅了させました。

 根津さんの、一曲一曲愛情深く接し、その曲の持つ魅力を最大限に発揮させるような演奏を聴くたびに、音楽の素晴らしさを改めて実感させられます。「ショパンをめぐる作曲家たち」シリーズは今回で締めくくられましたが、また根津さんの演奏に出会えることを期待したいものです。 (K.S.)

 

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