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ピアニスト 田崎悦子 in Joy of 室内楽シリーズ 第2夜 開催レポート

(Chamber music series Vol.2)
〜ゲスト・アーティスト ヴァイオリニスト 篠崎史紀氏〜
情熱と個性が火花のようにぶつかりあう、夢の共演!!
☆公開リハーサルから感動コンサートへ&演奏者との懇親パーティー
公開リハーサル
第1回 4月30日(金)
4:00 P.M.
第2回 5月1日 (土)2:00 P.M.
2010年
5月1日(土)6:30 P.M. コンサート開演
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 ゴールデンウィークに入って最初の土曜日、表参道のパウゼには沢山の人が続々と集まりました。本日の演奏会は、ピアニストの田崎悦子さんが企画する“Joy of Chamber Music Series”の「三大作曲家の青春」第2章。パイプ椅子を出しても足りないほどひしめき合う人の多さに驚きました。昨年11月に行われた第1回と同様、大物ゲストと若手演奏家の共演というコンセプトのもと、今回もN響コンサートマスターの篠崎史紀さんと桐朋学園大学の学部1、2年の学生たちが出演され、また2回の公開リハーサルも企画されました。

 黄緑のほっそりしたドレスであらわれた田崎さん。演奏会の趣旨や1曲目のシューベルトについてお話され、「ウィーンといえばまろ」との呼びかけで篠崎さんが登場しました。《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調》は、シューベルトが20歳のときの作品。篠崎さんは、ビーダーマイヤーの時代の言うことが言えない風潮のもとでつくられたこの曲の強弱記号にはpが多い、また、シューベルトの曲は鼻歌の音楽である、などについてお話されました。実際の演奏は、たしかに抑え目ではありましたが、ヴァイオリンが余裕で弾きこなされる中で垣間見える情熱的なフレージングは、何とも言えず魅力的でした。

 続くベートーヴェンの《ピアノ三重奏曲 第3番》は、作曲家の出世作ともなった作品1-3で、弦楽器の役割をあらたなものにした意欲的な作品といいます。大宮理人さんのチェロが加わり、緊密にアイコンタクトの行き交う演奏が繰り広げられました。第2楽章のアンダンテ・カンタービレでは、静かに流れる伴奏と装飾音の付いたメロディによって特にピアノの音の美しさがきわだち、馥郁とした暖かなサウンドが立ち上がりました。プレスティッシモの最終楽章では、情熱的なうねりからふっと力が抜け、軽やかに曲が締めくくられた瞬間、客席から満足のため息と拍手があがりました。

 休憩を挟んでブラームスの《ピアノ五重奏曲 ヘ短調》。このジャンルの曲はシューマンやドホナーニなどクラシックのレパートリーの中で数えるほどしかないといいます。第2楽章では和声の一瞬の微妙な変化を美しくうたうヴァイオリンが印象的でしたが、ブラームス独特の執拗さが押しかけてくる第3楽章は、特徴的な数種類のリズムにのった激しく強い演奏でした。田崎さんによる非常に力強い連打と、それに続くピアノ・弦の高らかなメロディの勇壮さは、しっかりと聴き手の耳に焼きついたと思います。ピアノのメリハリの利いたリズム感、そして若い3人(ヴァイオリン:福田悠一郎さん、ヴィオラ:城達哉さん、チェロ:村井智さん)もこの深い作品を見事に表現しました。若いのに小さくまとまる演奏ではなくてよかった、と感じ入ったところ、田崎さんによれば、実はリハーサルの最初の頃からずっと成長して「ハチャメチャ」になったということでした。

 アンコールは、何を弾くかの話し合いの結果、ブラームスの第3楽章をふたたびエネルギッシュに演奏してくださいました。大変すばらしい夜となりました。なにより全曲を通して篠崎さんのヴァイオリンの迫力、魅力には抗いがたいものがありましたが、それもまた田崎さんの絶妙な支えが効いているのでしょう…。コンサート終了後は演奏者を囲んで懇親会が催されました。シリーズ第3回は2011年1月に行われる予定とのことですので、ぜひ皆様もお薦めしたい演奏会です。 (S.K.)

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