トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2010年 > 斉藤デュオのピアノ連弾講座シリーズ > 開催レポート

KMAP
斉藤デュオのピアノ連弾講座シリーズ開催レポート
〜第1回 「二人で弾くための準備」「発表会のための選曲」
2010年4月8日(木) 10:30 講座(10:30〜12:30)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 青空に桜が咲き乱れ、春の訪れを感じるけれどまだひんやりと肌寒い・・・そんな日にパウゼでは斉藤デュオによるピアノ連弾講座シリーズ初回が催されました。斉藤デュオというのは、斉藤昭彦さんと斉藤美紀さんのご夫婦が組んでおられるピアノデュオ。おふたりは大学卒業後のウィーン留学中にデュオを結成され、イタリアのサレルノ国際ピアノコンクール・デュオ部門で第1位を獲得して以来ご活躍を重ねてこられました。愛らしく軽やかにピアノを弾きこなすプリモの美紀さんと、“淡々と”とリズムを支えるセコンドの昭彦さんは、芸術的な連弾はもちろん、流れるような掛け合いによるレクチャーも聴かせてくださいました。

 今回のテーマは、一台のピアノで弾く連弾に取り組む際、前提として知っておきたいこと、また練習の前の段階で押さえておかなければならないことです。まず、連弾から何を学ぶことができる点についてのお話。「聴く力」が養われる、相手のよい影響を受け表現の幅が広がる、悪い面が倍増して強調されるといった点であるそうです。連弾は対話と融合であり、リズムやバランスが何より大切であることも基本と語ります。これらは全部、ほかの楽器によるアンサンブルに共通して言えることではないかな?と思いましたが、手軽に家庭のピアノでそれを味わうことができるのが連弾のいいところなのでしょう。続いて、どのような人が各パートに向いているかについてです。テンポの安定感があり、チェロのような柔らかい音を出せる人がセコンド、歌のニュアンスを考えるのが得意で、よく透る音色を出せる人がプリモに向いているそうです。

 次に、ビゼーの《子供の遊び》やモーツァルトのソナタKV521、ドビュッシーの《小組曲》などの曲を例に出しながらもっと具体的なアドヴァイスがありました。テンポの主導権は、がっちりとリズムを支えるセコンドがもつのが基本ではありますが、フレーズのニュアンスを表現するには音符が細かいほうが主導権を握るのだそうです。セコンドの人が楽譜に書かれている強弱記号よりも弱く弾くこと(ffと書かれていたらmfで)という点は、実際に比較を聴いてみると、非常に重要だと感じました。また、個人練習に入る前にふたりで初見などを通じてやっておくことは次のようなものだといいます。楽譜をよく見て両パートに共通するフレーズやそのつながり方を知っておく、ふたりの手が交差する箇所などを確認しておいて指遣いを工夫する、音量を確認する、などです。これらはもしかすると省きがちなプロセスかもしれませんので、大切な作業だと思いました。

 最後に、発表会の曲の選曲に関して、実例を交えて沢山の曲をご提示くださいました。簡単なディアベッリ《旋律的練習曲》や、セコンドのほうが易しい曲が含まれているシューマン《小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品》、手が交差して見栄えのするプーランク《ソナタ》、そのほか《ラプソディ・イン・ブルー》やジブリ作品のアレンジなど・・・。次回の講座では、合わせの段階についてご指導くださいますので、ぜひ皆様パウゼに足を運んでみてください。

(S.K.)

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2010年 > 斉藤デュオのピアノ連弾講座シリーズ > 開催レポート