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白石照男 公開講座 開催レポート
「視覚障害者ヘのピアノ指導アドバイス」
〜 鍵盤の位置、譜読、手の動き・・・どう導いていくか 〜
2010年3月12日(金) 10:30 講座(10:30〜12:30)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 パウゼで行われた公開講座「視覚障害者へのピアノ指導アドバイス」。講師の白石照男先生は、視覚障害、聴覚障害、四肢障害などをもつ子どもたちをご自分の教室に迎え入れピアノを指導されてきた、笑顔のやさしいとても温かな人柄の先生です。あまり学ぶ機会のないテーマだけに、会場にはたくさんの人が集まりました。

 今日の講座の内容は、音感の身につけ方、鍵盤の位置の見つけ方、譜読みの仕方、強弱やメロディのフレージングのつけ方、点字楽譜についてなど盛りだくさんでした。客席のために、ピアノの脇にはスクリーンが置かれて鍵盤が大きく映し出され、遠くからでも白石先生の手の動きが斜め上から見えるように工夫されていました。

 白石先生の講座をお聞きして、目の見えない生徒のための指導方法は非常に時間がかかるけれど、指導者のセンス次第ではむしろ豊かな音楽性が身につくのではないかと思いました。というのも、音楽を楽譜だとか色のマークのついた鍵盤だとかではなく、歌で覚えて弾くやり方だからです。たとえば、レッスンは最初に、目の見える、見えないにかかわらず大切なドレミの音感を身につけるところからはじまるのですが、このとき、歌う「ドレミ」と、鍵盤の「ドレミ」とが一致するまで時間をかけて覚えさせるといいます。目が見えたらこの辺の実感が薄いまま先に進んでしまうかもしれません。

 次に、鍵盤の位置を身につけます。これが視覚障害をもつ場合の演奏の特徴的な部分で、2つの黒鍵、3つの黒鍵を見つけることで場所をとるそうです。黒鍵2つを左側に親指で降りたところがド、黒鍵2つの左側が白鍵のシド、右側がミファ…といった具合です。それをきっかけにしてほかの音の場所を見つけさせます。

 曲の譜読みでは、先生がメロディを歌ったり弾いたりしながら1レッスンで4〜8小節を教えていくとのことで、とても時間がかかります。音符の長さの違いは、「ド・オ・オ」というように歌ったり、あるいは「ネコ」などの言葉をあてはめたり・・・。強弱もやはり、先生が階名で大げさに強弱をつけて歌ってあげて覚えさせるそうです。音楽的なアーティキュレーションのつけ方は、はじめのうちは先生の歌い方次第ということになります。また、実際のレッスンの風景もビデオで見せていただきましたが、先生の手の上に子どもの手をのせて、手や腕の動きを感じとらせたりもしていました。

 最後に、白石先生のお弟子さんの中西良輔さんがドビュッシーの《ベルガマスク組曲》より〈月の光〉を弾かれました。この段階までくると、もちろん緩急、強弱のつけ方はご自身の中から湧き出ていて、深く心に染み入る演奏でした。白石先生は、ピアノの先生たちに、視覚障害をもつ生徒が訪ねてきたら、「専門ではないですが」とことわった上で受け入れてあげてほしいと呼びかけました。とても充実した2時間、白石先生の次の講座もぜひ期待しています!

(S.K.)

  恩師の先生方や友人と。

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