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KSCO
佐久間 晃子ピアノリサイタル開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.8》
2010年2月24日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
桐朋学園 表参道サロンコンサートシリーズ、第8回目を迎える今回は、佐久間晃子さんのピアノリサイタルです。佐久間さんは、桐朋学園大学音楽学部を卒業後、現在はパリ市立高等音楽院に在学する傍ら、国内外で積極的に演奏活動を行っておられます。前半最初に演奏されたのは、モーツァルトの≪ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330≫。コロコロと機敏なタッチ、瑞々しく愛らしい音色、まるでピアノと遊んでいるような演奏は、聴いていてとても微笑ましい気持ちになりました。
次に、ショパンの≪マズルカ 変イ長調 作品59-2≫と≪舟歌 嬰へ長調 作品60≫が続けて演奏されました。明るく甘美な中にどことなく陰りを帯びているような≪マズルカ≫。そして、ゴンドラを漕いでいるような左手の伴奏に合わせ、波の上を反射し、きらきらと輝く光のように自由に歌っていく右手が印象的な≪舟歌≫。どちらも、ショパンが健康状態の悪化に伴い、心身ともに衰弱していた頃に作曲された曲であるからか、華やかさのなかに、憂鬱感を感じるような演奏でした。
前半最後は、ドビュッシーの≪ピアノのために≫です。隅々までコントロールされた音色、華やかなテクニックはもちろんのこと、この曲は、プレリュード、サラバンド、トッカータの3曲からなり古典組曲の様式で作曲されていますが、その古典的な要素と、色彩豊かな響きなどの近代的な要素が見事に調和されていました。
休憩を挟み後半は、フォーレの≪ノクターン 第6番 変ニ長調 作品63≫とラヴェルの≪クープランの墓≫。
フォーレの≪ノクターン≫では、うつろうような調性の変化、繊細で優美な音色、自然な歌いまわしが印象的でした。
そして、前半のドビュッシーとのように、古典組曲の様式で作曲されているラヴェルの≪クープランの墓≫では、華やかな装飾、宝石をちりばめたような音色など、古典的な響きを出しながらも、第一次世界大戦で戦死したラヴェルの友人へ捧げられていることもあり、どこか胸を締め付けられるような、そして、崇高な響きがとても心に残りました。
アンコールにショパンの作品25-1と作品10-5の練習曲が演奏され、大きな拍手に包まれました。
佐久間さんの一音一音を大切にされる姿勢、ピアノと対話をしているような演奏を通して、音楽に対する深い愛情のようなものを感じさせられました。
(K.S)
三上桂子先生とその門下生の皆様
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