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第15回 国際ピアノデュオコンクール(作曲部門)開催レポート
入賞者ガラ・コンサート
2010年2月12日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ
2月12日、「国際ピアノデュオコンクール」の作曲部門で見事上位入賞を果たした8名の若手作曲家による作品の披露演奏会が開かれました。プログラムには、連弾作品と2台ピアノの作品がずらりと並んでいます。演奏はピアノデュオの演奏で評価が高い「Duo Uchida」と「斉藤デュオ」。楽しみに開演を待ちました。
最初は松村知美さんのピアノ連弾作品「水脈と鼓動」が演奏されました。筆者はこの作品を聴いてぼんやりとした色彩の印象派絵画を連想しましたが、後で解説に「モネの睡蓮を想像して聴いて頂きたい」と書いてあったのを見て「やはり!」と思いました。2曲目の「鼓動」は様々な変拍子が印象的で、1曲目とは対照的なリズミカルな作品です。
2つ目の作品は日野悠平さんの2台ピアノのための作品、”RESONANCE” です。日野さんの作品は洗練されたジャズの要素を取り入れた作風が印象的でした。ライヒのミニマル的な要素を何となく感じさせつつ、途中で”All the things you are” のコード進行が出てきたり(作曲者本人が意識していたかは分かりませんが…)と、聴きやすくも色々な要素が感じられました。
3曲目、綿引浩太郎さんの作品はピアノ連弾の為の「朱夏青嵐」です。現代社会が抱える様々な問題が創作のきっかけになったそうです。深みのある色彩感豊かな和声、メランコリックな旋律などがそのことを表現していたように筆者には感じられました。
4曲目、「碧の歌」は2曲から成る2台ピアノのための作品です。1曲目はプロコフィエフ風のハーモニーが印象的な舞曲でした。一方2曲目は音がぼんやりと滲みながら変化していくかのような色彩感豊かな作品。2台ピアノの表現力をよく活かしていたと思います。
休憩をはさみ、後半、5曲目は脇丸諄一さんの「SEVEN」という作品で始まりました。その名のとおり「7」という数字がキーワードとなっているそうですが、これが音階のことなのか、和声に関することなのか、筆者は1回聴いただけでは認識できませんでした…しかし即興を元に組み立てられた幻想的な世界は独特な味わいをもっていたように思います。
続く栗林琢也さんの連弾作品 「瓶覗(かめのぞき)III」は、ソド・ミファミド・シ♭という音列が様々な形で表れる連弾作品。この音列が曲を統一していたと思います。その中でオスティナートや複調的な響きなど、様々な技法を盛り込んだ意欲作でした。
大澤愛実さんの「翔舞」は今日の作品中とりわけ古典的な要素が強いと感じました。主要主題は、ブラームスを彷彿させる分厚い和音を伴う情熱的なものです。一方、ゆったりとした中間部の主題も美しく印象的でした。近代的な和声による作品が続く中、ハッとさせられた作品でした。
そして最後は岩井麻莉央さんの”INNOCENCE”〜Sonata for 2 Pianos。「大学のときに映画や音楽、いろんな人の作品をみながら、人間の心、心模様をストレートに表現したい、という思いが強くなって、それを形にした」という作品だけあって、様々な性格のテーマが次々を現れるスケールが大きく、技巧的な作品でした。演奏効果も非常に高く、インパクトの強い作品だと思います。
コンクール入選を果たした作品だけあり、どの作品も完成度が高く、聴きごたえがあるものばかりでした。作品を演奏したDuo Uchidaと斉藤デュオも、それぞれ息の合った素晴らしい演奏で作品の魅力を存分に引き出していたと思います。若手作曲家たちの今後の更なる飛躍を期待します。
(M.S.)
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