トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2010年 > 宮下朋樹ピアノリサイタル > 開催レポート

宮下朋樹 ピアノリサイタル 開催レポート
ベートーヴェン ピアノソナタ全曲演奏会 XI(最終回)
2010年
1月16日(土) 14:00開演( 13:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
東京オペラシティリサイタルホール

 

 

 

 ここ数日、非常に厳しい寒さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?本日は東京オペラシティで、宮下朋樹さんのリサイタルが開催されました。宮下さんは桐朋学園大学、ハノーヴァー音楽大学、ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学で研鑽を積んだ後、リサイタル、オーケストラとの共演、室内楽など非常に幅広く演奏活動をされているピアニストです。

 本日のプログラムはベートーヴェンの最後のソナタ3曲(第30−32番)。宮下さんが2001年から続けておられるベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会の最終回です。同時にこれら3作品は、宮下さんの98年のデビューリサイタルと同じ曲目でもあるとのことで、ご自身にとってもかなり思い入れがあることでしょう。

 会場には幅広い年齢層の方々が駆けつけ、ほぼ満席になりました。宮下さんが舞台に登場し、ピアノに腰かけると、会場はしんと静まりかえります。弾き始めた曲は《ピアノソナタ》第30番ホ長調作品109。さすが、デビューリサイタルでも演奏しているだけあり、かなり弾き込んで、作品を自分のものとして消化していることがよく分かりました。宮下さんの演奏は、スピード感あふれる演奏が持ち味で、朗々と歌いながら豊かなピアノの音色を響かせていきました。ホ長調の柔らかい響きが魅力的な第1楽章、切れのよいリズムが印象的な第2楽章、天国のような優しい響きに満ちた第3楽章と、各楽章とも巧みに弾き分けていきました。

  続いては《ピアノソナタ》第31番変イ長調作品110です。穏やかながらも、芯のあるしっかりとした朗々とした響きを響かせていきます。また最終楽章に出てくるフーガの部分では、声部ごとの明確な表現が見事でした。やはりベートーヴェンの後期のソナタは、どれも深い味わいと聴きごたえがあります。前半の2曲だけでも、かなり充実した内容でした。

 休憩をはさみ、後半の曲は《ピアノソナタ》第32番ハ短調作品111です。ベートーヴェン最後のピアノソナタであり、これまで数々の名ピアニストが取り組んできました。減7の和音の強烈な響きで始まり、集中力が途切れることなく演奏が繰り広げられていきます。人生の葛藤、不安、喜びなど様々なことを感じさせる白熱の演奏に、客席からは盛大な拍手がおくられました。

 アンコールに応え、宮下さんはベートーヴェンの若き日の作品、《ピアノソナタ》第1番ハ短調作品2-1の第2楽章を美しく演奏し、リサイタルを締めくくりました。円熟の後期作品が続いた後に、純粋な響きが印象的な清々しい演奏でした。

 ベートーヴェンのピアノソナタ全曲連続演奏会の最後を飾るのにふさわしい、充実したリサイタルだったと思います。ベートーヴェンのソナタが完結した後、これからはどんな作品を取り上げていくのでしょうか?宮下さんの更なる境地が楽しみです。

(M.S.)

  恩師やご友人の方々と。

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2010年 > 宮下朋樹ピアノリサイタル > 開催レポート