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原田絵里香 ピアノリサイタル開催レポート
東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.8
2009年
12月19日(土) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 12月、表参道にはキラキラのイルミネーションが飾られ、道を歩く人たちの足取りはいつも以上に楽しそうなリズムを刻んでいます。そんな華やかで活気に満ちた雰囲気が、パウゼにも満たされていました。東京音楽大学大学院に在籍中の原田絵里香さんのピアノリサイタルが始まろうとしています。

 原田さんは深い紫色のドレスで登場。首もとのキラキラしたアクセサリがクリスマスらしい季節感を演出しています。まずはじめはD.スカルラッティのピアノ・ソナタからの3曲です。明るく軽やかなト長調ソナタ、カンタービレで涙を誘うようなメロディのヘ短調ソナタ、ポリフォニックに始まって平行調に転調し奥行きの深いホ長調ソナタ。3つの楽章によるひとつの楽曲であるかのように、まとまりのある構成でした。

 今年没後200年を迎えたハイドンを記念して、次はハイドンのソナタ第58番の演奏です。変奏による第1楽章とロンド主題が印象的な第2楽章からなるソナタです。同じ主題から生み出されるインスピレーションの中にさまざまな表情を楽しむことができました。続いてラヴェルの2曲で、ハイドンの名によるメヌエットと、高雅で感傷的なワルツです。どちらも3拍子の曲で、ラヴェルらしい響きの豊かさに心地よく浸ることができました。

 後半、ドレス・チェンジしての再登場に客席はうれしい限り。白地に黒の模様の入ったかわいらしいドレスでの演奏は、2人のポーランドの作曲家の作品で、客席を充分楽しませてくれました。パデレフスキのメヌエット(作品14-1)とメロディ(作品16-2)では、力強いフォルテの音質と、最後のアゴーギク(テンポをゆらすこと)による情感の高まりに思わず引き込まれる演奏でした。

 プログラム最後の曲、シマノフスキのソナタ 第3番(作品36)は、1917年に書かれた作品です。スクリャービンの影響を感じさせるピアニズムによって、激動する戦間期の世相を映し出すかのように、刻々と変化する音の織り目が表現されています。音の密度が極限まで高まると、突然音の動きが小さくなったりします。このような幅の広い音楽的ジェスチャーを、原田さんは巧みに表現しました。

 アンコールとして、ショパンのマズルカの演奏で終演となりました。音楽の力で世の中を明るくしていけそうな、芸術への信念を確認できた充実した演奏会でした。(T.)

 賑わうロビー  先生と

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