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KSCO
中井正子 パリの香りII 開催レポート
『ラヴェル ピアノ作品全曲レクチャーコンサート・シリーズ』
〜第1回「鏡」〜
2009年12月18日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
中井正子さんによるレクチャーコンサート「パリの香り」シリーズ第2弾では、ラヴェルの全ピアノ作品を数回に渡って取り上げます。本日のテーマは「鏡」全5曲。会場に足を踏み入れてみると、既に音大生から年配の方まで幅広い層の方々が集まっており、補助席も出るほどの盛況ぶりでした。
前半は中井さんによる「鏡」の演奏です。さすがはフランス音楽のスペシャリスト、ラヴェルの魅力を存分に引き出した素晴らしい演奏に、客席の皆さんもじっと聴き入っていたようです。第1曲「蛾」での不可思議で急速な分散和音から、聴き手を幻想的な世界に引き込んでいきました。その他第2曲「悲しい鳥たち」の深い響き、第3曲「洋上の小舟」での流麗な流れなど、それぞれの曲の特徴を巧みに描き出した演奏といえるでしょう。高度なテクニックとクリアで美しい音色は実に見事でした。
休憩をはさみ、後半は中井さんが校訂された楽譜を使用しながらの、「鏡」全5曲のレクチャーです。まずはよく比較されるドビュッシーとの関連に触れながら、ラヴェルの音楽全般についての説明がありました。その後、「鏡」についての詳細なレクチャーが続きます。和音の仕組みや形式などを1つ1つ説明しながら、演奏する際のポイントをわかりやすく説明してくださいました。一見複雑極まりないラヴェルの多彩な響きも、比較的シンプルな要素の組み合わせであることが多いということがわかり、大変興味深く聞かせていただきました。会場の皆さまもそれぞれ持参された楽譜に書きこみながら、熱心に中井さんのレクチャーに耳を傾けておられたようです。
完成度の高い演奏と分かりやすいレクチャーによる大変充実した会でした。次回のレクチャーコンサートは2010年5月7日、テーマは「クープランの墓」です。こちらもまた楽しみです。(M.S.)
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