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KSCO
根津理恵子 ピアノリサイタル開催レポート
「ショパンをめぐる作曲家たち」Vol.9
2009年12月12日(土) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
12月12日パウゼにて、根津理恵子さんのリサイタルが開催されました。根津さんは、現在ポーランドを拠点にヨーロッパ各地で演奏活動をなさっています。2002年より行われている「ショパンをめぐる作曲家たち」シリーズ第9回目は「民族性とヴィルトゥオーソ」をテーマに、ショパンと「北欧のショパン」と呼ばれているグリーグ、2人の祖国に対する熱い想い、民族性等が随所にちりばめられていました。前半最初に演奏された、グリーグの抒情小品集より≪夜想曲Op.54-4≫では、自然豊かな北欧の夜の静かで幻想的な世界が描き出されており、続いて、同じくグリーグの≪ピアノ・ソナタ ホ短調Op.7≫では、彼の若き日の充実した様子が情熱的に表現されていただけでなく、北欧独特のほの暗く神秘的な響きも巧みに描写されていました。そして、前半最後の曲は、ショパンの≪アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ≫。ゆったりとして流れるような伴奏に支えられ、メロディがクリアな音色で、まるで花が育っていくように紡ぎだされていき、そしてポロネーズになると、それらが花開いたように、華麗で生命感に満ち溢れた演奏が印象的でした。
後半は、ショパンの≪スケルツォ≫全4曲。これらは1831年から1837年にかけて作曲されていますが、その中で、ロシア軍によるワルシャワ陥落の知らせに絶望している様子、恋人との破局、ジョルジュ・サンドと過ごした日々など、根津さんは、各曲ごとにショパンの心境の変化を鮮明に描かれておられ、ショパンが人生体験を通して円熟していく様子が感じられました。
最後に鳴りやまない拍手に応え、鐘の音が立体的に、いたるところで鳴り響く、グリーグの抒情小品集より≪鐘の音Op.54-6 ≫と、明るく堂々としたショパンの≪マズルカOp.41-2≫が演奏され、根津さんの卓越したテクニック、輝かしく洗練された音色、そして、音楽に対する真摯な姿勢が大変感動的でした。(K.S)
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