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KSCO 
石井楓子 ピアノリサイタル 開催レポート
2009年
12月11日(金) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 石井楓子さんはまだ桐朋女子高等学校の3年生ですが、昨年東京音楽コンクールで第2位を受賞し、現在注目されている若手ピアニストのひとりです。早くも小学生の頃から活躍なさり、今でもその頃の小さなピアニストを記憶し、成長を見守ってきた方も少なくないようです。

 本日のリサイタルのプログラムは、ショパンを軸として、バッハ、モーツァルトやドビュッシーの作品を散りばめたものでした。冒頭のバッハ《平均律クラヴィーア曲集第2巻》より 第14番 嬰へ短調 では、素朴な音の美しさに耳をひきつけられました。折り重なる三重フーガを丁寧につくりこんだフーガの後は、静動のメリハリのきいた名曲、ショパン《スケルツォ第2番 変ロ短調》へと続きます。提示部で、右手がシンプルに一本のメロディを奏でるときの輝きのある響きがとても印象的。湿度の低い外国の空気を肌に感じるような、ショパンの男性的な側面を垣間見るような、からりとした凛々しい演奏でした。

 色々な時代の作曲家の作品をプログラムに含めたというご本人のトークを挟み、技巧的なドビュッシー《喜びの島》。ソ・ソ・ファー・ファソ・ミー・ミソ・レーというリズミカルな主題を確実な打鍵で引き立たせた、モーツァルト《グルックの「メッカの巡礼たち」のアリエッタ「愚民の思うは」による10の変奏曲 ト長調》。そして、ショパン《ポロネーズ第6番「英雄」》でダイナミックなテクニックを見せて、盛りだくさんの第一部を閉じました。

 休憩の後は、ショパンの熟年の大作《ソナタ第3番 ロ短調》ただ1曲をじっくりと聴かせます。ラルゴの楽章ではこの日はじめて聴くほどの柔らかな音色で歌い上げ、難易度の高い第4楽章はまさに入魂の演奏でした。

 アンコールは2曲。プログラム本体とは異なる傾向の剛柔を使い分けたアクロバティックなラフマニノフ《音の絵 Op.39-9》と、レガートの暖かなショパン《ノクターン Op.37-2》をのびやかに弾きあげ、客席も大満足です。

 幅広い曲目を弾きこなすテクニックを証明されたリサイタルでしたが、それだけではない内面的な魅力が滲み出ていました。芯のある演奏というべきか、メロディに力のある演奏家だと思いました。今後のご活躍が楽しみです。会場にはたくさんのお知り合いが応援にかけつけ、終演後には石井さんの周りに長い行列ができていました。                              (S. K.)

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