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ドビュッシー頌 III 連弾曲
〈ピアノ四手〉澤田 まゆみ & 須江 太郎 開催レポート
《東京藝術大学卒業生 新進演奏家シリーズ Vol.8》
2009年
12月10日(木) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 今年も残すところわずかになりました。表参道の通りは、カラフルなイルミネーションがクリスマスのムードを彩っています。さて、本日の演奏会《ドビュッシー頌》は、フランスを代表する作曲家クロード・ドビュッシーを讃えて澤田まゆみさんが2007年より開催してきたシリーズです。第3弾にあたる今回は、須江太郎さんと共にドビュッシーのピアノ連弾作品に焦点を当て、その魅力に迫るという大変興味深いもの。とても楽しみに開演を待ちました。

 満員の会場に、リラックスした表情で登場された澤田さんと須江さん。最初に演奏したのは初期の連弾作品《交響曲》の第1楽章。まだドビュッシーが自己のスタイルを確立する前の作品です。冒頭から、ピアノ独奏とは異なる、厚みのある優しい響きが会場に広がっていきました。続いて《放蕩息子》《民謡的な主題によるスコットランド交響曲》と進むにつれ、ドビュッシーらしい独特な響きが色濃くなっていきます。そして前半最後は有名な《牧神の午後への前奏曲》。ラヴェルによる連弾ヴァージョンです。聴きなれたオーケストラとはまた異なる独特な響きが魅力的でした。ドビュッシーの初期から後期にわたる作品が創作順に演奏されたので、作曲様式の変遷を見るようで興味深かったです。

 後半は「珠玉の連弾曲集」と題して《6つの古代碑銘》と《小組曲》が演奏されました。《6つの古代墓碑銘》はドビュッシーの後期作品だけあって、様々な旋法や和声が駆使された不可思議な響きが際立ちました。一方《小組曲》はとても親しみやすく美しい作品。特に「小舟にて」では波に揺られている小舟の情景が目に浮かぶよう。テンポが揺れる箇所でもお二方は息ピッタリの素敵な演奏を聴かせてくださいました。

 アンコールには《子どもの領分》より「ゴリーウォーグのケークウォーク」とマックス・レーガー編曲の《きよしこの夜》を演奏。クリスマス・シーズンにピッタリの優しい響きで演奏会を締めくくりました。

 ドビュッシーの連弾作品をじっくりと堪能できた充実した演奏会でした。ピアノ独奏とは異なる連弾の豊かな響きが心地よく、楽しめました。《ドビュッシー頌》のシリーズは2010年12月の「室内楽曲」で完結とのこと。こちらも今から楽しみです。(M.S.)

  お客様と