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KSCO
有吉亮治 ピアノリサイタル開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.11 》
本日の演奏者、有吉亮治さんは、東京藝大卒業後、ジュネーヴ音楽院で研鑽を積まれました。日本音楽コンクール他、コンクール入賞歴も多数あり、現在国内外で活躍しておられる期待のピアニストです。今日の演奏会では、スカルラッティ、ベートーヴェン、シューマン、ラヴェルの作品が演奏されました。会場にはピアノを習っていると思われるお子様から、音大の先生方まで、多くの方々が有吉さんの演奏を楽しみに開演を待っていました。有吉さんの演奏は、ピアノを完全にコントロールし、それぞれの作曲家の持ち味を存分に引き出しているのが印象的でした。例えばプログラム冒頭にはスカルラッティのソナタが3曲(K.20, K.11, K,159) 演奏されたのですが、チェンバロの奏法を意識したと思われる軽いトーンと即興性を感じさせる装飾音が魅力的でした。時代にふさわしい様式をマスターしているからこそ可能な表現といえるでしょう。一方ベートーヴェンの「テンペスト」ソナタでは、より力強い表現とテクニックが際立ちます。スカルラッティよりもしっかりした響きで、厳粛な世界を創り上げていきました。
後半、シューマンの《子供の情景》では、美しくシンプルな旋律を、絶妙なピアニッシモで美しく表現。遊び心あふれる自由な表現が素晴らしい。そして最後、ラヴェルの《ラ・ヴァルス》は演奏会の最後にふさわしい素晴らしい演奏でした。グリッサンドなど豪快なテクニック満載で聴き応え抜群。有吉さんが演奏する迫力満点の壮大なワルツに、会場のお客様は皆引き込まれていたようです。盛大な拍手に応え、有吉さんはアンコールにショパンの「マズルカ」作品59-1と、シューマンの《子供の情景》から「トロイメライ」を再度演奏して、演奏会を締めくくりました。全体的に極めて完成度が高く、素晴らしい演奏会だったと思います。有吉さんの演奏を通して、改めてピアノという楽器の豊かな表現力を感じた一夜でした。(M.S.)
恩師の迫先生とお友達の皆さん。
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