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岡田敦子トーク&ピアノ・シリーズ Vol.2
「 弾く人、楽しんで弾く人のために、とびきり実践的なトーク&ピアノ」
2009年12月2日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

一般3,000円 KMF会員2,500円  学生2,000円 (全自由席)  

 完売御礼 好評のうち終了いたしました。 開催レポートはこちらから

ゲスト:花崎淳生(vl.)

PROGRAM

トーク&コンサート:
「バッハをどう弾くか…音楽的イディオム
(音形)から読み解く可能性」

J.S.バッハ:
2声のインヴェンション
(vl. 花崎淳生、pf. 岡田敦子)

J.S.バッハ:
無伴奏ヴァイオリンのための
パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006 (1720)

J.S.バッハ:
フランス風序曲 ロ短調 BWV831(1735)

※曲目が変更になる場合がございます。

第2回 読譜の秘密 ― ボーイング、タンギングから発想する演奏解釈

 トーク&ピアノ・シリーズ「弾く人、楽しんで聴く人のために、とびきり実践的なトーク&ピアノ」の第2回は、バッハの楽譜の読み方をめぐってのトーク&コンサートです。

 バロック・ヴァイオリンの花崎淳生さんをゲストに迎えて、弦楽器のボーイングを実際に耳と目で確かめながら、まず前半は《2声のインヴェンション》にほぼ網羅的に現れる多様な音楽的イディオム(音程、リズム、表現など)の奏法と音とを探り、後半はバロック・ヴァイオリンとモダン・ピアノでそれぞれ舞踏組曲を演奏します。

 ところで、なぜバッハの演奏解釈の可能性を探るために《2声のインヴェンション》から始めるのでしょう。その理由は、この曲集がたんに初歩的な対位法的な作品を集めた教材ではなく、音楽の基本中の基本と言うべき「よき楽想」(J.S.バッハ)の数々がいわば<体系的>に示された、一つの小宇宙だと考えるからです。

 ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685〜1750年)は、ケーテン時代(1717〜21年、32〜37歳)の終わりの頃、長男ヴィルヘルム・フリーデマン(1710.11.22〜1784)の9歳の誕生日からちょうど2か月めの1720年1月22日に『ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帳』を書き始め、その最後の第4部と第5部に《プレアンブルム》と《ファンタジア》を置きました。これに若干の改定が加わり、1723年に最終稿として成立したのが《インヴェンション》と《シンフォニア》です。

 《インヴェンションとシンフォニア》は息子フリーデマンだけが用いたのではなく、他の多くの弟子たちも学習の初期段階で自分用の《インヴェンションとシンフォニア》の筆写譜を作成し、演奏と作曲の両方の教材として用いました。フリーデマンを含めてバッハの弟子たちの多くは、すでに合唱団員としての経験をもっており、音楽様式についてのまったくの初心者ではありませんでした。つまり、すでにかなり音楽を知っている子供たちのために、音楽を構成するさまざまな楽想とその展開の可能性を、いわばカタログのように示したのが《インヴェンションとシンフォニア》だったのです。とくに《2声のインヴェン》には、対位法的書法のみならず、さまざまな音型、奏法、展開、形式、拍子、さらには音楽的スタイルや趣味など、音楽の基本がみごとなまでに整然と配置されており、それを適切に学ぶことは全ての音楽への道に通じます。

 《インヴェンション》をはじめバッハの主要な鍵盤作品のほとんどは、ケーテン時代以降に書かれました。その根底には弦楽合奏があると言われ、弦楽器のボーイングには解釈上のヒントがぎっしり詰まっています。そのボーイングと実際の音との関連を、当時のバロック・ヴァイオリンの演奏で確かめながら、もういちど鍵盤作品の楽譜を見直し、ピアノによるバッハ演奏の可能性を探りたいと思います。じつはこの企画は数年前から暖めていたものです。

 後半はバロック・ヴァイオリンとピアノで、それぞれバッハの舞踏組曲をお届けします。かれこれ20年も前にピアノでバッハを弾こうと思い立った時、念頭にあったのは「重く、暗く、真面目なバッハ」ではなく、「快く、楽しく、けれど真面目なバッハ」でした。

 2年前に久保田彰氏制作の美しいチェンバロが自宅に到来したものの、夢のチェンバリストとなるにはほど遠く、今は負け惜しみかもしれませんが、ピアノで弾くバッハはチェンバロより管弦楽合奏に近いと考えています。

 年末のあわただしさのなかで、ひととき快く、楽しく、そして役にも立つ一夜をお届けできましたら幸いです。

PROFILE

岡田敦子(トーク&ピアノ)おかだ●あつこ
東京藝術大学博士課程修了。学術博士。原田吉雄、末永博子、伊達純、ウラジーミル・トロップの各氏に師事。現在、東京音楽大学教授、東京藝術大学講師。全日本ピアノ指導者協会フェスティバル委員、日本ピアノ教育連盟評議員・研究部委員長。
スクリャービンを始めとするロシア音楽の演奏には定評があり、評論や研究の分野でも活躍。「スクリャービン生誕125周年記念音楽祭」(1997、モスクワ)や「ショパン没後150年記念第2回国際シンポジウム」(1998、ワルシャワ)に招かれ、リサイタルや講演を行う。校訂楽譜『スクリャービン・ピアノ曲全集』(春秋社)、『新編世界音楽全集-ロシア・ピアノ曲集1、2』、著書『瞬間は永遠のなかに-世紀末のピアニズム』等。

花崎淳生 Atsumi Hanazaki
東京藝術大学を経て同大大学院修了。1986年から87年にかけて、ドイツ、カールスルーエに留学。井上武雄、日高毅、J.W.ヤーンの各氏に師事。
1997年度「村松賞」、平成16年度文化庁芸術祭大賞、平成19年度文化庁芸術祭優秀賞を古典四重奏団として受賞。
現在、「エルデーディ弦楽四重奏団」「古典四重奏団」「アンサンブルBWV2001」メンバー。東京藝術大学非常勤講師(室内楽)。

主催/カワイ音楽振興会 03-3320-1671
協力/桐朋学園大学
後援/(株)河合楽器製作所関東支社 カワイ音楽教育研究会
【チケット問い合わせ先】 カワイ音楽振興会 03-3320-1671/カワイ表参道 03-3409-2511
ホームページからもお申し込みいただけます。 http://kawai-kmf.com

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