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“IMAGINATION” Vol.9
「気まぐれなファンタジーたち」
稲田 潤子 ピアノリサイタル 開催レポート
2009年11月25日(水)19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:東京文化会館小ホール

 

 

 

 寒い日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか?今日は稲田潤子さんのリサイタルを東京文化会館で聴きました。稲田さんはリサイタルや室内楽、国内外のオーケストラとの共演など、幅広く精力的な活動を繰り広げている実力派ピアニストです。今日は「気まぐれなファンタジーたち」と題して、サティ、セヴラック、リャプノフ、シューマンらの素敵な作品が演奏されました。ホールはほぼ満席という盛況ぶりで、稲田さんの演奏を楽しみに開演を待っておられるお客様の様子が伝わってきました。

 筆者は過去にも稲田さんのリサイタルと室内楽の演奏を聴いたことがあります。その度に優れたテクニックはもちろんのこと、作曲家ごとにピアノのタッチを変えて的確に弾き分ける巧みな表現力に感心しておりましたが、今回も研ぎ澄まされたピアノのタッチは健在でした。

 サティの《3つのグノシェンヌ》や《きざな気取り屋の3つの高雅なワルツ》は決して演奏困難な作品ではありませんが、それだけに繊細な表現が求められます。稲田さんはふわっとした美しく軽いトーンで、この作曲家の優雅さと皮肉が同居した不思議な世界を表現しました。

 続いてはセヴラックの作品です。筆者は演奏会でセヴラックの曲を聴いたことがなかったので、どんな曲なのだろうと、楽しみにしておりました。《ポンパドゥール夫人へのスタンス》という作品は、素朴で美しい旋律と洗練された和声が印象的な作品で、心地よい響きが会場に広がっていきました。《水の精と慎みのない牧神》と《ペパーミント・ジェット》もそれぞれ、優雅で透明な響きが際立つ素敵な演奏でした。 

 そして前半最後はロシアの作曲家・リャプノフの《超絶技巧練習曲》作品11より「レズギンカ」。名前のとおり、かなりの技巧を要する舞曲風の作品です。息をつかせる間もなく疾走する熱演に、会場のお客様も熱心に耳を傾けておられたようです。

 後半はシューマンの《幻想曲》ハ長調作品17です。前半のフランス作品における浮遊した感じの演奏とは対照的に、豊かで豪快な響きが印象的でした。愛と情熱、夢など様々な世界が色彩感豊かなストーリーとして紡ぎだされる様子は、とりわけ感動的でした。

 盛大な拍手に応え、稲田さんはアンコールにセヴラックの《休暇の日々から》第1集より「シューマンへの祈り」、ドビュッシーの「月の光」、シチェドリンの「バッソ・オスティナート」の3曲を演奏、コンサートを締めくくりました。

 今日は初めて聴いた作品も多かったのですが、稲田さんの素晴らしい演奏により大変有意義で充実した演奏会を楽しむことができました。これからも素敵な演奏を聴かせていただきたいものです。(M.S.)

 

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