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KSCO
坂本知穂&井上麻紀 ピアノジョイントコンサート開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.7》
2009年11月11日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
秋も深まり紅葉鮮やかなこの頃、桐朋学園サロンコンサートシリーズ Vol.7を聴きました。今回は坂本知穂さんと井上麻紀さんのピアノ ジョイントコンサート。お二人のソロと連弾というプログラムです。最初にステージに登場したのは坂本さん。情熱的な赤のドレスを身にまとっていました。曲目はモーツァルトの幻想曲とソナタです。幻想曲 ニ短調では、とても美しいアルペッジオが始まるやいなや、一瞬のうちに聞き手を溢れるファンタジーの世界に引き込んでいきました。憂鬱な中にも輝きのある短調の表現は格別のものでした。ソナタ ニ長調は、モーツァルトらしい無邪気で転がるような走句が特徴の曲です。右手と左手の軽やかな掛け合いはとても魅力的でした。
次はブルーの素敵なドレスがお似合いの井上さん、演奏するのはラヴェルの作品3曲です。ドレスのイメージがぴったりな《水の戯れ》では、噴水の水しぶきの生き生きとしたイメージが伝わってくる演奏でした。次に曲集〈鏡〉から2曲を演奏。特に印象的だったのは《道化師の朝の歌》。スペインの情緒たっぷりに、リズムやギター風の音型がとても味わい深く、また聴き手にアップテンポの興奮が伝わる、素敵な演奏でした。
後半はオール・ショパンプログラム。1曲目は井上さんによる《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》です。穏やかな始まりに加え、きめ細かい粒をもった走句がこぼれおちていくような美しいパッセージが、とてもきれいでした。次は坂本さんの《華麗なる大円舞曲》と舟歌 嬰ヘ長調です。坂本さんの演奏で特にきれいなのは、ピアノ(弱音)の箇所の表現です。とても繊細で華やかな音の響きは本当に美しかったです。
最後はお二人の連弾でした。ショパン作品の中では珍しい《4手のための変奏曲》(遺作)の息がぴったりの演奏では、アンサンブルの楽しさが伝わってきました。アンコールにはモシュコフスキの連弾曲《クラコヴィアック》を演奏。とても軽やかでスピード感あふれる演奏で、このステキな一晩を締めくくるフィナーレとなりました。(T.)
恩師の先生方と。
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