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實川 風 ピアノリサイタル開催レポート
《2008年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ Vol.4 》
2009年10月23日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 秋の晩、實川風(じつかわかおる)さんのピアノリサイタルがありました。第77回日本音楽コンクールピアノ部門で第3位を獲得した若手ピアニストです。開場前からたくさんのお客様たちが集まり、寄せられる期待の大きさが窺えます。今回のリサイタルは、オール・ショパン・プログラム。それもほとんどが大曲と呼べるものばかりの豪華な曲目が並びます。どんな演奏が聴けるか、楽しみに待ちました。

 タキシード姿で登場した實川さんは、すらりと伸びた長身とまっすぐな目線が印象的でした。1曲目は《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調》で、小川のせせらぎが聞こえてくるような描写によっておだやかに始まります。大ポロネーズでは、丁寧なフレージングと奥行きのある表情に聴衆はじっくり聞き入っていました。

 続いてスケルツォ第3番嬰ハ短調 作品39の演奏です。短く駆け抜けるモチーフが颯爽と過ぎ去ると、劇的な和音が鳴り響きます。感情的になりすぎると不安定に聞こえがちな曲ですが、實川さんの演奏は安定したテンポ感とひとつひとつの指の使い方の確実さが際立って、とても美しく仕上がっていました。バラード第4番ヘ短調 作品52では、主題が変奏された形で繰り返されますが、そのたびに新たな魅力を聴かせる、傑出した演奏でした。

 休憩後も、大作2曲が続きます。《幻想ポロネーズ》変イ長調 作品61の演奏は、ストーリー性のある、いろいろな表情を見せてくれ、聴衆を楽しませていました。

 最後はソナタ第2番《葬送》変ロ短調 作品35です。ソナタとしては変わった構成の作品ですが、それぞれの楽章にあるショパンの魅力がとてもよく出ていました。メインの第3楽章では、息の長い旋律のラインを比類ない集中力で描きます。中間部の旋律はとても美しく、冒頭と最後に置かれる葬送行進曲は違う印象を与えました。第4楽章の風のように現れて消えてしまう両手のユニゾンは、つかみどころのない音楽なのに、フィナーレとしての風格によってこのソナタに最高の栄誉を与えるような演奏でした。

 アンコールの革命エチュードは第一級の演奏で、弾き終わるや否やブラボー・コール!これからが本当に楽しみな演奏家です。(T.)

  先生と

 

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