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KSCO
入江一雄ピアノリサイタル
《2008年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ Vol.3 》
2009年10月16日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 入江一雄さんのリサイタルを聴きました。入江さんは現在東京藝大の修士課程で研鑚を積みながら、リサイタルやオーケストラとの共演など、最近ますます活動の場を広げています。今最も注目される若手ピアニストの1人といえるでしょう。今回のリサイタルはベートーヴェンからメシアンまで、非常に高度な技術を要する作品が並んでいます。会場には音大生や音大の先生、クラシック・ファンと思われる年配の方など、幅広い層のお客様が来場されました。

 入江さんの演奏は、全ての曲において完成度が高く、技術的な面をクリアすることはもちろん、その上でピアノを通して歌っているのが印象的でした。シューマンの《トッカータ》作品7では、非常に複雑な重音を難なくこなし、スケールの大きな演奏を繰り広げる一方、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ》第26番変ホ長調「告別」では繊細な歌心あふれる演奏で聴き手をひきつけました。曲の性格を明確に弾き分ける技量もさすがです。

 前半最後の曲はメシアンの《幼子イエズスに注ぐ20の眼差し》より「悦びの精霊の眼差し」です。正直、メシアンというと筆者にとって「難解」というイメージがあったのですが、入江さんの演奏は、そのような先入観を打ち砕く素晴らしい演奏でした。華やかな不協和音の連続は、とてもエネルギッシュで、演奏効果抜群。圧巻でした。

 休憩をはさみ、リサイタルでおなじみの作品、ショパンの《スケルツォ》第3番と第4番では、急速なパッセージを難なくこなし、華麗な演奏を繰り広げました。技術的に難しいはずの部分が入江さんの演奏では全く難しく聞こえないのがこのピアニストの技術の完成度の高さを物語っています。

 そしてプログラム最後の曲はラフマニノフの《ピアノ・ソナタ》第2番変ロ短調作品36です。この作品は一般的に「1931年改訂版」が演奏されることが多いのですが、入江さんは本日の演奏会で比較的珍しい「1913年初版」を演奏されました。より複雑で規模が大きいヴァージョンですが、入江さんは、この初版の方により魅力を感じるとのこと。大規模で高度な作品を、情感たっぷりに表現し、圧倒的な演奏を繰り広げました。非常に充実した作品を弾き切った入江さんに、会場からは「ブラヴォー!!」という声援とともに、大きな拍手がおくられました。

 アンコールに応え、入江さんはハチャトゥリアンの「剣の舞」など3曲を演奏。素晴らしい熱演に、会場からは拍手が鳴りやみませんでした。プログラム、演奏ともに大変充実した内容の演奏会を楽しむことができました。入江さんの今後のご活躍が今からとても楽しみです! (M.S.)                               

  

アンドレイ・ピサレフ氏やご友人達と。

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