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KSCO
深沢亮子ピアノリサイタル vol.5 開催レポート
〜変奏曲の夕べ 〜
2009年10月9日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
今日は日本を代表するピアニストの1人、深沢亮子さんのリサイタルでした。筆者は過去に2回深沢さんのリサイタルを聴いていますが、その美しいピアノの音色、豊かな表現に感激したのを覚えています。本日は「変奏曲の夕べ」というタイトルのとおり、様々な作曲家の変奏曲の魅力に迫る大変興味深いコンサート。「パウゼ」には深沢さんのファンと思われるお客様が開場前から長蛇の列を作って並んでいました。深沢さんの美しい音色、素晴らしい表現力はこの日も際立っていました。また、深沢さんの演奏は、他のピアニストと比較して、強弱のメリハリが大きいことが大きな特徴のようです。通常ゆったりとピアニッシモで演奏されるような箇所も、深沢さんは情感を込め、フォルテとピアノの差を引き立たせ、聴き手を揺さぶるのです。ハイドンの《変奏曲》へ短調、モーツァルトの《きらきら星変奏曲》ハ長調K.265などの曲では、シンプルな旋律も思い切り情感豊かに、絶妙なピアノのタッチで聴き手をひき込んでいきました。
続いては、邦人作品の演奏です。深沢さんは邦人作品に造詣が深く、リサイタルの度に積極的に演奏、その魅力を紹介してこられました。演奏の前に、黒髪芳光さんの奥様と助川俊弥さんがそれぞれ登場され、作曲家や作品にまつわるお話を聞かせてくださいました。その後、深沢さんは黒髪さんのピアノのための小品「野花」、助川さんの「こもりうた」を演奏。どちらもシンプルな旋律に絶妙な和声付けがなされ、心地よい響きが印象的な作品でした。
休憩中には、ケーキとドリンクのサービスがあり、お客様も楽しくお話などされていたようです。
後半も充実した変奏曲の名曲が続きます。シューベルトの《即興曲》作品142-3「ロザムンデ」は有名で親しみやすい旋律ですが、やはり深沢さんは歌心あふれる演奏で聴き手を魅了しました。一方プログラム最後の曲、メンデルスゾーンの《17の厳格な変奏曲》作品54では、圧倒的なテクニックでスケールの大きな演奏を展開、聴きごたえ抜群の演奏でした。
盛大な拍手に応え、アンコールにメンデルスゾーンの《無言歌》より「ベニスのゴンドラの歌」と《前奏曲集》第2巻より「オンディーヌ」を演奏。叙情的な旋律、浮遊した響きなど、様々な作曲家の魅力を存分に引き出す深沢さんの技量はさすがです。次回はどんな作品を聴かせてくださるのでしょうか。今から楽しみですね! (M.S.)
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