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岸 美奈子 ピアノリサイタル開催レポート
《東京藝術大学卒業生 新進演奏家シリーズ Vol.6》
2009年
9月25日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 「パウゼ」で岸美奈子さんのリサイタルが開催されました。岸さんは東京藝大やモスクワ音楽院で研鑚を積んでこられました。現在、武蔵野音大で後進の指導にあたる傍ら、ソロ、室内楽など幅広い演奏活動をなさっています。本日のプログラムは前半にバロックの作曲家、後半に近代の作曲家を集めた興味深いもの。チケットは前売りの段階で既に完売という盛況ぶりです。どんな演奏が繰り広げられるのか、楽しみに開演を待ちました。

 金色の華やかな衣装でステージに登場した岸さん。冒頭、スカルラッティの《ソナタ》ホ長調&ニ長調から、軽やかで美しいタッチで、聴き手をひき込んでいきました。極めて高度なテクニックに支えられ、どんなパッセージも楽々に演奏されるのはさすがです。続くバッハの《フランス組曲》第5番BWV816では、軽やかな装飾音をいたるところに散りばめながら、楽しい演奏を繰り広げていきました。ピアノを通して常に歌い、楽しんでおられる様子が客席からもよくわかりました。

 休憩をはさみ、後半はスクリャービンの《ピアノ・ソナタ》第2番嬰ト短調作品19「幻想ソナタ」で始まりました。ショパンとも通じるロマンティシズムを感じさせながらも、神秘的な響きが印象的な美しい作品の魅力を余すところなく引き出す素敵な演奏でした。続くドビュッシーの《アラベスク》はおなじみの名曲です。流れるような第1番、軽やかな第2番と、心地よい響きが印象的でした。そして最後はドビュッシーの《ピアノのために》。この作品では特に岸さんの優れたテクニックが際立ちました。急速なパッセージ、豪快なグリッサンドなど、大変素晴らしい演奏でした。

 アンコールに応えて、岸さんはアンコールにシューマンの《トロイメライ》とクライスラー(ラフマニノフ編曲)の《愛の喜び》を演奏。最後まで迫力満点の素晴らしい演奏を聴かせてくださった岸さんに、客席からは最後まで盛大な拍手が鳴りやみませんでした。(M.S.)

  終演後のロビーの様子。

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