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栗田奈々子ピアノリサイタル開催レポート
《2008年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ Vol.1 》
2009年8月28日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 沢山のご友人に囲まれて。

 

 

 夏も終わりに近づいた8月28日、表参道「パウゼ」で栗田奈々子さんのピアノリサイタルがありました。2008年日本音楽コンクールの入賞者シリーズの一つで、実力を多方面から認められているピアニストのコンサートです。カワイ表参道には、開場前から人が集まり、階段の下まで並ぶ列が出来ていました。

 ブルーグリーンの綺麗な色合いのドレスで現れた栗田さんが最初に弾いたのは、J. S. バッハの《イタリア協奏曲》です。生き生きとした協奏曲を一台の鍵盤楽器で表現したこの曲では、バロック的な拍節感を大切にしていて、聴いていて「楽しい!」と思わせる演奏でした。

 今回のプログラムはドイツ人作曲家による曲目でまとめられていて、その2つ目はベートーヴェンのピアノソナタ《月光》でした。古典派において、規則的な拍感は、忠実に守りすぎていれば単調になってしまうところですが、栗田さんの演奏では、正しい拍節の上に生きた音楽が息づいていて、聴いている人を引き込む勢いがありました。また、大きなまとまりの終わりで、自由な引き延ばしがありましたが、そうした楽譜には書かれていない間(ま)の取り方が非常にうまく心理的な時間を表現していたように思います。弾き終わると、演奏の美しさのあまり、客席から小さな歓声が漏れました。

 後半は、栗田さんにとって大切な存在であるシューマンの演奏です。気持ちを新たに、ライトグリーンのドレスに衣装替えして登場しました。アラベスク(作品18)は栗田さんらしい優しさのこもった演奏でした。特に後半のアルペジオではハープの音かと思うほど柔らかな表情が美しく、会場のお客様もうっとりと聴き入っていました。最後はクライスレリアーナです。この作品は8曲からなり、感情面、形式面で二極性が交替していきます。こうした差の激しい進行の中、栗田さんはたくさんの想いを込めて演奏しているようで、それぞれの曲はさまざまな微妙な表情を展開しました。極端な動と静だけでなく、メランコリックな表情や優しさのある強さなど、変幻自在な栗田さんの表情に、誰もが深く感じ入っていたことでしょう。

 この魅力ある若きピアニストの今後の活動が楽しみです!(T.)

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