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イリーナ・ザハレンコヴァ ピアノリサイタル開催レポート

2009年5月29日(金) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 エストニア出身の若手ピアニスト、イリーナ・ザハレンコヴァさんのリサイタルをパウゼで聴きました。ザハレンコヴァさんは、今回の日本ツアーが初来日とのこと。プログラムにはバロックと古典派の曲を中心とした名曲が並んでいます。どんな演奏を聴かせてくださるのでしょうか。楽しみに開演を待ちました。

 紫の素敵なドレスで登場したザハレンコヴァさん。最初の曲、バッハの《イギリス組曲》第2番イ短調BWV807のプレリュードを弾き始めると、美しく繊細な響きが会場に広がっていきました。各声部を明確に弾き分けながら、多彩な音色を実現していきます。ザハレンコヴァさんは、ピアノのみならず、チェンバロ、フォルテピアノ、オルガンも弾きこなされるとのこと。このようなバロック時代の鍵盤楽器に精通していることが、ピアノ演奏にも活かされていると感じました。

 次の曲、モーツァルトの《ソナタ》変ロ長調KV.333では、冒頭のフレーズをさらりと弾いただけで、自分の世界を作りあげてしまいます。軽やかに流れるレガート、粒立ちのよいマルカートなど、多彩な音色の変化を自在に表現し、表情豊かな演奏を繰り広げました。続くベートーヴェンの《ソナタ》第10番ト長調作品14−2ではレガートの美しい表現が際立つ一方、後半でのダイナミックで技巧的な表現も素晴らしいものでした。

 後半、スカルラッティの《ソナタ》ハ長調K.49でのリズミカルで愛らしい表現、《ソナタ》ト短調K.43での抒情的な表現など、曲によってピアノのタッチを変える表現力はさすがです。

 プログラム最後はブラームスの《ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》作品24です。ブラームスの作品の中でも特に高度なテクニックを必要とされる大曲です。シンプルで美しい旋律が徐々に重厚さを増していきます。特に後半のフーガの演奏は圧巻で、その壮大な世界に会場の誰もが圧倒されたことでしょう。

 アンコールにはドビュッシーの《ベルガマスク組曲》から「月の光」と、スカルラッティの《ソナタ》ニ長調を演奏。ピアニッシモの美しい響きは例えようもないほどでした。

 とても美しいピアノの音色を聴かせてくださったザハレンコヴァさん。次回の来日が今から楽しみですね!

(M.S.)

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