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日本ショパン協会 第247回例会
伊藤めぐみピアノリサイタル開催レポート
2009年
5月15日(金) 19:00開演( 18:30開場)
主催:日本ショパン協会
協賛:(株)河合楽器製作所
会場:東京文化会館小ホール

 

 

日本ショパン協会第247回例会が東京文化会館小ホールで開催されました。演奏者は伊藤めぐみさん。東京芸大およびポーランド国立ワルシャワ・ショパン音楽院を卒業後、数々の国際コンクール入賞を果たし、以後日本とポーランドを中心に精力的な演奏活動をなさっているピアニストです。今回はショパンの主要なポロネーズ8曲という、体力・精神力共に要求される内容の濃いプログラム。ショパンを特に得意とされる伊藤さんの演奏を楽しみに待ちました。

伊藤さんの演奏は絶妙なタッチによる繊細な表現が特徴で、ショパンの魅力をよく引き出しているものだと言えます。それは冒頭の《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》変ホ長調作品22から明らかで、スピアナートの部分における伴奏部のアルペジオや、鍵盤を軽やかに駆け巡る旋律の表現は極めて美しいものでした。続く1−4番のポロネーズはどれも技術的に充実した内容で、非常に高度なテクニックを要するものばかりですが、それらを豪快に弾き切った伊藤さんの高度なテクニックはさすがです。第1番、第2番のポロネーズの陰鬱ながらも力強く情熱的な表現、そして有名な《軍隊ポロネーズ》のスケールの大きな表現も大変聴き応えがありました。

後半はショパンの全作品の中でもひときわ輝く傑作が並んでいるだけあり、とても充実した内容でした。伊藤さんの演奏もより一層熱を帯び、素晴らしい演奏を繰り広げました。有名な《英雄ポロネーズ》の豪快な表現は圧倒的でしたし、《幻想ポロネーズ》の演奏はショパン晩年の孤高の境地を思わせるもので、客席の誰もがその神秘的な世界に聴き入っていたようです。この曲もやはり演奏が難しい大曲ですが、伊藤さんの演奏は、音がピアニッシモになり消え去っていく部分の繊細な表現がとりわけ聴き手をひき込む感動的なものでした。

客席からの拍手に応え、アンコールには映画「戦場のピアニスト」でもおなじみの《ノクターン》嬰ハ短調、《マズルカ》ニ長調作品33−2を演奏し、演奏会を締めくくりました。

ショパンの作品の中でも特に重厚で格調高いポロネーズの世界を堪能できた、素晴らしいコンサートでした。ショパンの様々な作品を伊藤さんの演奏で聴いてみたいと思ったのは私だけではないと思います。 

(M.S.)  

 サイン会の様子。にこやかに一人一人丁寧にサインをされていました。

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