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KSCO
石井理恵 ピアノリサイタル開催レポート
2009年4月15日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
石井理恵さんは山形県のご出身で、東京音楽大学、大学院で演奏を学びながら、国内外のコンクールで受賞、オーケストラとの共演もこなしている実力ある若きピアニストです。チケットは完売していて、会場の席は全て埋まり、演奏が始まる前から熱気が立ち込めていました。どんな演奏が始まるのでしょうか。
ベージュに赤い花模様の華やかなドレスで登場した石井さんが最初に弾いたのは、バルトークの《ルーマニア民俗舞曲》です。ルーマニアらしい素朴で鮮やかな民謡を右手で質感たっぷりに歌いながら、左手でダンスのリズムを軽やかに刻んでいきます。6つの小さなダンス曲のなかでも、特に〈角笛の踊り〉は虚空を切る旋律の寂しさや切なさが強く伝わってきて、とても印象的でした。
次はベートーヴェンのピアノソナタ第18番。ホルンの音の特徴を真似した5度の音型を利用している楽曲です。第1楽章、第4楽章ともにソナタ形式ですが、石井さんの演奏ではテーマをあまり目立たせすぎずに、とても自然な形で音楽の中に位置づけていました。それは形式的なことよりも音楽の必然の流れを大切にする姿勢なのだと感じました。
ショパンの3つのワルツ(作品64)では、どれもメランコリックな性格を保ちつつも、しつこすぎず、さっぱりと洗練された演奏でした。リスト=ホロヴィッツの《ラコッツィ行進曲》は高度な技巧を要する大曲ですが、技術的なことにとどまらず、曲想の不気味な雰囲気は圧倒的なものでした。演奏後には「すごい!」とのため息も!
後半はシューマンの《謝肉祭》作品9の演奏です。さまざまな人物や情景がめまぐるしく描かれる作品です。ここでは〈オイゼビウス〉と〈フロレスタン〉を、また〈コケット〉と〈返事〉をペアにして表現するなど、石井さん独特の解釈が光っていました。また、〈スフィンクス〉で示されている音型を実際に弾いて、この曲集の源泉となっている4つの音(A、Es、C、H)を低音の深い音色で響かせました。最後は〈ダヴィッド同盟の行進〉の荘厳で高貴な雰囲気のなか、演奏会は堂々と締めくくられました。
表現の独自性と高い技術力を魅せてくださった石井さんのこれからに注目です。
コンサート開催日以前に完売となり大盛況!
ロビーは物凄い人!人!!人!!!でした。(T.)
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