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KSCO 
ピアニスト 関本昌平 とその音楽仲間たちによる
ソロと室内楽の祭典 開催レポート
2009年4月9日(木) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 春の花がかぐわしいこの季節、カワイのコンサートサロン「パウゼ」で華やかな演奏会がありました。『ピアニスト関本昌平とその音楽仲間によるソロと室内楽の祭典』は、たくさんの人が開催を心から待っていた演奏会です。開場前から長い列をつくって人が集まっていましたし、なにより開演直前のわくわくした雰囲気は、みなさんが演奏にただならぬ期待を抱いていることを感じさせました。

 前半は、シューマンの《ピアノ五重奏曲 変ホ長調》です。高雅で華麗なテーマが弦楽全員(ファースト・ヴァイオリン、セカンド・ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)と共に奏され、「祭典」の幕開けにふさわしい装いで冒頭を飾りました。第1楽章で何度も出てくるこのテーマは、とても力強さに満ちていて、またそのトゥッティ(演奏者全員が同時に奏すること)は5人の音楽家たちの結束の固さを感じさせるものでした。ソロ風の部分では、ピアノはもちろん、2人のヴァイオリン、ヴィオラとチェロの旋律の受け渡しもとても流麗で美しいものでした。特に第4楽章ではピアノが弦楽を音楽的によく導いていました。弦楽は4人といえどもオーケストラを思わせる充実した響きで、大きなスケールを創り出す演奏でした。

 後半はお待ちかねのピアノ・ソロです。まずはブラームスの《3つの間奏曲 作品117》。第1番では、ゆりかごの心地よい揺れを感じさせるリズムと、深い眠りへ誘われる時のような息の長いフレーズに酔いました。その一方で抑制の効いたデュナーミク(強弱)は知的な余裕を感じさせました。関本さんが弾きながらもらす息遣いやハミングのような声がこちらにも聞こえてくるのは、グレン・グールド(20世紀のピアニスト)さながらです。第2番の低いユニゾン、いかにもドイツ風の暗く陰鬱な雰囲気は、とても味わい深いものでした。

 最後はシューマンの《謝肉祭 作品9》の全曲演奏です。〈前口上〉に始まって、そのレンジ(音域)の広さに応じた幅広い音色はピアノ一台とは思えないほど。とにかくダイナミックで劇的な音楽のジェスチャーに、聴衆はうっとりしていました。

 プログラムの終了後に、アンコールとしてシューマンの「子供の情景」より 1.見知らぬ国と人々について の冒頭を演奏して下さいました。メロディを前面に聴かせる演奏で、やはり音楽の「歌」を大切にしていらっしゃるのだと感じました。そんな関本さんの今後のご活躍がますます楽しみです。

(T.) 

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