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三宅麻美 ピアノリサイタルシリーズ(最終回)開催レポート
Rythms of the earth 〜 vol.3 闇にきこえる調べ 〜
2009年3月14日(土) 18:00開演(17:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 本日のコンサートは、いつも独創的なコンセプトで好評を博している、ピアニスト三宅麻美さんの演奏会です。今回は、全三回から成るシリーズ『地球のリズム』の最終回。「闇にきこえる調べ」というテーマで選ばれた曲が、パウゼという場でどのようにきこえてくるのか、楽しみです。

 まず最初のプログラムは、ヤナーチェクの《霧の中で》です。あたり一面が霧に覆われ、身動きが取れない状況のなか、遠くから聞こえてくるのは民謡風の旋律。不思議な雰囲気に包まれて、聞き手は一気に三宅さんの創り出す音楽の世界に引き込まれます。

 次は、ヤナーチェクの《草かげの小径にて》第1集から、終わりの方の3曲。〈ふくろうは飛び去らなかった!〉は、特徴的なアルペジオがふくろうの羽ばたきを連想させるダイナミックで繊細な演奏。〈こんなにひどくおびえて〉はテンポや強弱のたびたびの変化をうまく操り、うつろいやすい子供の心理をよく表現していました。〈おやすみ〉では深く落ち着いた曲調の中に力強いメッセージを感じました。

 続けて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ《月光》が始まりました。低声部で波打つような嬰ト短調の前奏の上に歌われる悲しげな旋律は、まさに「闇にきこえる調べ」。どこともなくさ迷い歩く不安な心境が表現されていました。激しい曲調となる第3楽章では、三宅さん独特のアゴーギク(テンポをゆらすこと)が印象的でした。心の激しさが否応なく伝わってきました。

 休憩後、後半の曲目はショパン一色。ノクターン4曲、子守唄、ポロネーズ《幻想》とどれも、三宅さんらしい演奏が引き立つものでした。《幻想》では、冒頭の劇的で強烈な和音とアルペジオで聞き手がくぎ付けになるところと、ポロネーズの同音反復音型がやさしくあたたかく響くところが、対照的に描かれながらも、曲の中でうまく調和していました。穏やかで深い安らぎのなかに現れる内的な激しさ。あるいは、激しい情感があってこその心の安寧。それらを最も効果的に伝える術を、三宅さんはよくご存知なのですね。

 アンコールにはショパンのノクターン(遺作)と、ドビュッシーの《月の光》が演奏されました。このとき三宅さんがお話されたように、地球のことを音楽を通して考えるひと時を過ごすことができたと思います。このピアノリサイタルシリーズは終わりますが、今度またパウゼで演奏する機会があるようです。今後とも三宅さんの演奏活動から目を離せません。

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