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竹内真紀 ピアノリサイタル
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.8 》
2009年3月6日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 春の待ち遠しいこの季節、一足さきに、心あたたまるフレッシュな演奏会を聴きました。東京藝術大学、英国王立音楽アカデミーでピアノ演奏をを学び、国際的な評価を得ている竹内真紀さんのピアノリサイタルです。チケットは完売し、会場は満席です。

 客席の照明が落ちたときの緊張感といったら、これほど期待に満ちた空気はないでしょう。竹内さんが最初に弾いたのは、J. S. バッハの半音階的幻想曲とフーガ ニ短調(BWV 903)。ニ短調音階の走句の激しい始まりに、会場にいた人はみな、息を飲んだのはないでしょうか。幻想曲は非常に自由なスタイルで書かれているのですが、竹内さんの演奏は、バロックの作品であることを感じさせず、むしろロマン派のラプソディーという曲種によくあるようなロマンチックな香りがしました。ペダルをうまく使い、素早いパッセージはきれいにまとまっていましたし、時折のアゴーギク(テンポを微妙にゆらすこと)は効果的でした。フーガは、それまでと打って変わって厳格な対位法に基づいて作曲されていますので、幻想曲との対比が鮮やかです。曲想の変化はタッチにも表れています。十本の指が波状に流れる幻想曲とは対照的に、秩序を重んじるフーガでは、際立って正確なタッチになっています。

 前半のその他の曲目は、ベルクのピアノ・ソナタ作品1や、ブラームスの4つの小品作品119です。竹内さんならではの「3大B」作曲家によるプログラミングにセンスの良さを感じます。

 後半はスペインの作曲家が並びます。ファリャのバレエ音楽《三角帽子》より、作曲者によるピアノ編曲を3曲。どれも「踊り」という表題が付いていて、力強く刻まれるリズムの上に演奏されていきます。最後はアルベニスの《イベリア 第3集》より3曲。アルハンブラ宮殿、アンダルシア、マドリードなど、スペインの町から、ギターの音やスペイン舞曲に特有のリズム感が伝わってきました。

 プログラムが全て終わると、竹内さんは再び舞台に現れて、ご自身の留学中の経験や、音楽に対する想いを語りました。アンコールにファリャの《火祭りの踊り》。低音のオスティナート音型(バスに幾度も繰り返される定型)の響きは地鳴りのごとく足元に届きました。演奏者の音楽への誠意がなみなみと伝わってくる一夜でした。

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