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根津理恵子ピアノリサイタル開催レポート
日本ショパン協会 第244回例会
2009年
1月17日(土) 14:00開演(13:30開場)
主催:日本ショパン協会
会場:浜離宮朝日ホール

日本ショパン協会第244回例会が浜離宮朝日ホールで開催されました。今回のピアニストは根津理恵子さん。根津さんは東京芸大を卒業後、日本とポーランドを中心に精力的に演奏活動をなさっています。確かなテクニックと豊かな音楽性には定評があり、今最も注目されている若手ピアニストの1人といえるでしょう。今回のリサイタルはショパンの《24の前奏曲》作品28を中心に、ショパンから影響を受けた作曲家の作品を織り交ぜて構成された非常に興味深いプログラム。会場に駆けつけた多くのお客さんも開演前から根津さんの演奏を心待ちにしているようでした。

前半最初の曲はヘンデルの《クラヴィーア組曲》第5番ホ長調HWV.430。ヘンデル特有の暖かく優しい響きが会場に広がります。硬い音色と柔らかな音色を使い分け、巧みに表現していたのが印象的でした。

次の曲はスクリャービンの《左手のための2つの小品》より「ノクターン」作品9−2。右手をピアノの椅子に固定し、左手だけで音を紡いでいく様子は視覚的にもとても興味深かったです。左手を存分に活用し、低音域のバス、中音域のハーモニー、高音域のメロディーを5本の指だけで美しく表現するのは実に見事なもので、その甘く夢見心地な世界に会場の人は皆じっと聴き入っていました。

そして前半最後はシマノフスキの《ポーランド民謡の主題による変奏曲》作品10。ポーランドに古くから伝わる民謡を元に様々な変奏が繰り広げられていきます。ショパンに通じるロマンティシズムを感じさせながらも、シマノフスキならではの神秘的で不可思議な響きを存分に引き出した演奏でした。

休憩を挟んで、後半は小山和彦さんのショパン《ショパンへの誘い〜マズルカ作品67−3の主題による幻想曲》で始まりました。このコンサートのために、根津さんが小山さんに作曲を依頼したのだそうです。ショパンのマズルカの主題をベースに、様々なショパンらしいフレーズが出てくる、美しくかつ技巧的な作品だったと思います。根津さんの高度なテクニックを意識して作曲されたのでしょう。比較的短い作品ではありますが、ショパンの作品と並べて演奏するのにピッタリの演奏効果の高い作品でした。是非再演されて広まっていくことを願います!

プログラム最後はショパンの《24の前奏曲》作品28。腕に自信のあるピアニストがしばしば演奏するリサイタルの定番です。この日の根津さんの演奏も数々の名ピアニストに並ぶ、とても素晴らしいものでした。優れた技巧を駆使して表現される音のファンタジーは、ショパンのそれぞれの小品の世界を存分に描き出した圧倒的なものでした。この大曲を弾き切った根津さんに、客席からはひときわ大きな拍手が送られました。

アンコールに応えて、根津さんは最後に《ノクターン》ロ長調作品62−1と、《タランテラ》作品43を演奏。《ノクターン》の夢見心地な響きと、《タランテラ》の躍動感溢れる演奏、どちらも素敵な演奏でした。アンコールにあえて「超有名曲」を選ばないあたり、根津さんのこだわりを感じたのは私だけでしょうか?

音楽への熱い想いとそれを実現する高度なテクニックを有する根津さんならではの、充実した演奏会でした。また、ショパンの名作を軸に組み立てられたよく練られたプログラムも実によく考えられたもので、皆が楽しめる魅力的なものだったと思います。また演奏が聴ける日を楽しみにしています!

  

ロビーの様子。

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