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工藤奈帆美ピアノリサイタル開催レポート
2009年
1月10日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場:津田ホール

 工藤奈帆美さんのピアノリサイタルが、津田ホールにて行われました。工藤さんは、数々の輝かしいコンクール受賞歴、コンサートやオーケストラとの共演の経験を持つ、期待の若手ピアニストです。本日のプログラムからは、時代や国を問わない幅広いレパートリーを持っていることが示されていたと言えるでしょう。

 まずは、スカルラッティのソナタが3曲演奏されました。チェンバロで演奏されることの多い作品ですが、ピアノならではの効果を活かし、美しく歌いあげていました。続いて、ドビュッシーの《前奏曲集》より〈アナカプリの丘〉〈ミンストレル〉〈ヒースのしげる丘〉〈花火〉の4曲。透明感のある音で、1つ1つの和音の色彩を大切にしているように感じました。とくに〈花火〉での、確かなテクニックに裏づけされた華やかさは、格別でした。前半の最後は、カール・ヴァインというオーストラリアの現代の作曲家による《ソナタ第1番》でした。筆者は初めて聴いた作品でしたが、その溢れんばかりのエネルギーに圧倒されてしましました。緩やかな部分での叙情性、そして対照的にトッカータ部分での強烈さは、もちろんこの作品自体が備えたものではありますが、非常にダイナミックな表現とも相まって、聴衆に強い印象を与えたのではないでしょうか。

 休憩を挟んで、後半は全てショパンの作品。《幻想ポロネーズ》は、それぞれのパッセージの性格を特徴的に描き、表現豊かに奏されました。続く、《ノクターン》嬰ヘ長調は、優美さが、《ワルツ》イ短調は、哀愁ただよう雰囲気が印象的でした。遺作の《ワルツ》ホ短調は、高音でのパッセージを輝かしく聴かせ、華麗にまとめていました。最後を飾るのは、大曲《アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ》です。美しい旋律と、ポロネーズの歯切れの良いリズム、そして彼女の持ち味と思われるスケールの大きさで、見事にクライマックスを創り出していました。

 聴衆の盛大な拍手に応え、アンコールが2曲演奏されました。シューマン=リスト 献呈とショパンの練習曲 嬰ハ短調 Op.10-4です。どちらも、彼女の並外れたテクニックと表現力を存分に味わえるものでした。

 

 現在、ジュリアード音楽院で学んでいるという工藤さん。また、日本の聴衆を楽しませてくれる日を心待ちにしています!

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