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KSCO
冨永愛子 ピアノリサイタル
東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.4
2008年12月20日(土) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
本日の演奏会は、この夏に行われた第6回東京音楽コンクールのピアノ部門で第1位を獲得した若き演奏家、冨永愛子さんのリサイタルです。これまで既に多くの賞を受け、国内外で活躍されている冨永さんのステージを筆者は非常に楽しみにしていました。開演前の会場では、土曜日ということもあってか、早い時間から客席が埋まり、聴衆の演奏への集中力が高まっていきます。季節感たっぷりの、クリスマス・ケーキのようなとてもかわいらしいドレスで登場した冨永さん。白を基調に赤いリボンがイチゴのようにアクセントになっています。そんなキュートな雰囲気の冨永さんですが、演奏は、手堅いテクニックに裏付けられた、枠組みのしっかりとしたものでした。基本的な打鍵法、力強いフォルテ、音楽の明確な方向性は、ピアノ演奏の一番の根幹となるもので、冨永さんの音楽を基礎付けているものでした。
ハイドンのピアノ・ソナタ(Hob. XVI-31)では、フォルテピアノ風の細かい装飾音がピアノで演奏するには困難に思えるような箇所もとても美しくきらめいていました。中間楽章の同主短調の体位法的フレーズ感には特別の感情がこめられていたように思います。
シューベルトのピアノ・ソナタ(D. 664)では、確実なタッチによって、和音的なパッセージをも正確に弾きこなした上で、音楽を作り上げていました。
次の曲目は、時代と国が変わって、ラヴェルの《夜のガスパール》です。冨永さんの演奏は、この曲の演奏技巧の難しさを感じさせず、明確な強弱と正確なタッチでこの作品の奇怪さを引き出しました。
休憩をはさみ、本プログラムのメインである、ラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番(Op. 36)が1931年改訂版で演奏されました。さまざまな感情の渦巻く様を冨永さんはうまく表現していました。作品の力強さや和音の豊かな響きが非常に印象的でした。
まだまだ聴き足りない私たちのために2曲のアンコールが演奏されました。流暢な旋律のラフマニノフの練習曲と、耽美な旋律のショパンのノクターンです。寒い季節にほんわかと幸せになれた素敵な演奏会でした。
ご友人たちも沢山いらしていました。男性が多い!?冨永さんの魅力ですね!
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