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渡辺仁美&高田のぞみ ピアノリサイタル開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.3》
オリヴィエ・メシアン生誕100年記念企画《アーメンの幻影》全曲演奏
2008年11月19日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 桐朋学園 表参道サロンコンサートシリーズ、第三回の今回は、現在共に桐朋学園大学院でピアノ演奏の研鑽を積まれている渡辺仁美さんと高田のぞみさんのデュオです。メシアン生誕100周年にちなみ、《アーメンの幻影》を中心としたプログラムです。

 開演前の会場は、授業を終えて駆けつけたのでしょうか、学生の方たちが多くいらして、和やかな雰囲気になるとともに演奏への期待に心が落ちつかないようです。

 プログラムの前半はそれぞれのソロ演奏を披露されました。渡辺さんのドビュッシー《映像 第1集》は、適確で客観的な演奏でした。きわだったメロディーは音のシェイプをきっかりしたものにし、まさに「事物の在るがまま」を表現したものでした。「水」の波紋模様、「ラモー」による諸和音の渦、「運動」に見る多彩なリズム。フランス近代の香りが漂ってくるようでした。

 高田さんのソロは、《映像》の3年後に作曲された、ラヴェルの《夜のガスパール》。ラヴェルにとって一世代前の詩人による詩に基づいて作曲されたものです。3曲を通じて幻想のイメージを存分に表現されました。妖精オンディーヌの情熱的でありながら冷静な感情、乾いた空気の中、執り行われる絞首刑。ざわめきながら現れ、突然消えるスカルボは、暗闇の中に本当に見えたかのように驚かされるほどの表現力です。

  

 休憩時間にもう一台のグランド・ピアノが登場し、いよいよ後半はメシアンの《アーメンの幻影》です。全7曲から成るこの曲全てに、祈りの言葉「アーメン」の思いがこめられています。第1曲の<創造のアーメン>では、第2ピアノ(高田さん)の低音、すなわち倍音によって作り上げられていくあらゆる音の根源から、カオスが生まれる様子を第1ピアノ(渡辺さん)が高音域で演奏していきます。被造物としての惑星は、規則正しい拍節による星の旋回と、リズミカルできらきらとした虹の描写で表現されました。最後の<成就のアーメン>では、第1ピアノが多彩な和声で色を塗りながら、輝かしく上昇していく光を第2ピアノが奏します。心身ともに非常に息の合ったお二人の2台ピアノ演奏に、一つのメシアン解釈として新しい価値を見ました。

 

 アンコールにはドビュッシーの《リンダラハ》を演奏してくださいました。二台でユニゾンになる箇所は絶品。終演後のロビーではたくさんの花束が贈られ、楽しいひとときをお過ごしでした。

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