トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2008年 > 飯田佐恵ピアノリサイタル > 開催レポート

KSCO
飯田佐恵ピアノリサイタル開催レポート
音が描く情景 〜北欧とフランスのピアノ作品〜
2008年
11月18日(火) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 飯田佐恵さんのピアノリサイタルが、11月18日に行われました。フィンランドに留学し、博士号も取得している飯田さん。そんな彼女が、日本ではあまり聴かれない北欧の作品を多く取り上げるということで、どのような音楽に出会えるのか、期待を胸にコンサート会場へ足を運びました。

 まず初めは、北欧の作曲家の中では馴染み深いグリーグの《抒情小曲集 第3集》Op. 43の6曲。蝶々がひらひらと飛び回るようなパッセージの中から旋律線が浮かび上がる1曲目の「蝶々」から、のどかなノルウェーの自然を思わせる終曲の「春に寄す」まで、どれも情景がありありと思い浮かぶような美しい演奏でした。

 そして、フィンランドの現代の作曲家の作品が続きます。ラウタヴァーラの《村の音楽師》Op. 1は、「ナルボの楽師達の大合奏」の華やかな、しかし独特な和声感のカデンツで始まりました。たとえば「ヤコブ・コンニ」は、連打によって機械の音が表現されていたりと、それぞれの曲が色々な音楽語法を用いて、特徴を描き出しており、音色の変化も相まって、個性の対比が際立つ演奏で、とても楽しめました。

 続いてノルドグレンの《小泉八雲の「怪談」によるバラード》より、「お貞」と「むじな」の2曲が演奏されました。この作品は、飯田さんの論文のテーマとなった作品で、非常に細部までこだわりが感じられました。「怪談」に基づいているというだけあり、不思議な雰囲気が会場を包みました。

 前半最後のヒュヴァリネンの《スピン》は、飯田さんために作曲された作品でこの日が世界初演。高音と低音のコントラストや、倍音を響かせる特殊な奏法、そして指ではなくプラスチックカードを使ってのグリッサンドなどによって、独特な音響が広がりました。それらの方向性を持った音が、説得力のある演奏につながっていたのでしょう。

 後半は、フランス音楽です。ドビュッシーの《前奏曲 第1集》からの6曲は、ドビュッシーらしい響きを生み出しつつも、非常にクリアな音で進められました。「亜麻色の髪の乙女」での優しさや、「沈める寺」での低音の響きなどが、印象的でした。最後のメシアンの《前奏曲集》からの3曲は、1音1音が丁寧に運ばれ、奏者と聴衆が一体となって、メシアンの音楽に集中していたように思います。

 満員の聴衆からの盛大な拍手に応え、アンコールにはサティの《ジムノペティ》が演奏されました。

 今回の演奏会を通して、北欧の作品の魅力を知った聴衆も多いことでしょう。これからも、このような素晴らしい演奏で、北欧をはじめ近・現代の作品を聴かせていただきたいと思います!

 

沢山のご友人の方々もいらっしゃいました。

 ホーム(ニュース) > コンサート情報 > 2008年 > 飯田佐恵ピアノリサイタル > 開催レポート