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日本ショパン協会 第242回例会
前田拓郎ピアノリサイタル開催レポート
2008年
10月3日(金) 19:00開演( 18:30開場)
会場:トッパンホール

前田拓郎さんは現在、東京藝術大学の修士課程で研鑽を積んでおられます。既に数多くのコンクールで優勝(!)されている他、今年は首相官邸で胡錦濤・中国国家主席を迎えての晩餐会で演奏されるなど、様々な場で活躍されています。

今回のリサイタルは、オール・ショパンプログラム。前半・バラード全4曲、後半・前奏曲全24曲という内容の濃いものです。ピアニストやピアノ学習者にとってなじみの深い傑作ですが、演奏者には相当の技術と体力、精神力などが求められる難曲でもあります。このピアノコンサート定番ともいえる作品群を、前田さんがどのように弾きこなされるのか、楽しみにしながら開演を待ちました。

さて、前田さんがステージに登場してピアノにゆったりと座ると、聴き手も集中して耳を傾けます。一呼吸置いて、「バラード第1番」のよく知られたユニゾンが重厚な響きで奏でられていきました。この冒頭のフレーズはとてもシンプルなものではありますが、それだけにピアニストのセンスが問われるところでもあります。しっかりピアノを鳴らしながらも、ゆったりと情感をもって語りかける前田さんの表現は見事なもので、「バラード」の特性がよく捉えられていました。曲は段々に激しさを増していきますが、技術的な困難を全く感じさせず、スケールの大きな演奏が展開されていきます。その他の曲も、それぞれの特徴をよく捉え、巧みに表現。特に演奏困難な「バラード第4番」のコーダの部分も圧倒的な技術と表現力で弾きこなしました。ピアニッシモからフォルティッシモまでの強弱の幅は非常に広く、前田さんの表現力の豊かさが伺える演奏だったといえるでしょう。

後半は前奏曲全24曲。これは全ての曲が異なる調で書かれた小品集です。各曲の性格をよく捉え、巧みに表現していたのが印象的でした。第1番の力強い表現から、有名な「雨だれ」での繊細なピアニッシモまで、ピアノの能力を存分に引き出した名演でした。曲を完全に自分のものにしているからこそ可能な、完成度の高い演奏だったと思います。

鳴り止まぬ拍手に応え、前田さんはアンコールにノクターン作品9−1と即興曲第1番変イ長調を演奏。軽やかで心地よい響きでコンサートが締めくくられました。

高い技術と豊かな音楽性でショパンの作品の素晴らしさを改めて認識させてくれた前田さん。また素敵な演奏が聴ける日を楽しみにしています!

終演後ロビーの様子。

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