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KSCO
脇 絢乃&鈴木孝彦 ピアノ・ジョイントリサイタル開催レポート
東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.3
2008年
10月1日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 近年特に躍進めざましい東京音楽大学、その表参道サロンコンサートも第三回を数えます。今回は大学1年から大学院2年の現在まで6年間を共に切磋琢磨してきたというお二人、脇絢乃さんと鈴木孝彦さんのジョイントリサイタルです。個性光るプログラムでした。

 キラキラの黄色のドレスで登場した脇さんの第1曲は、モーツァルトの《きらきら星変奏曲》です。よく知られるテーマが始まって、音楽の世界にやさしく誘われました。脇さんの全身をこめた音楽が、モーツァルトの単純だけれど純粋できらきらしたテクスチュア(音の織り合わせ)に乗って耳に届き、ピュアな子供の頃への感傷にひたらせてくれました。第2曲は20世紀の作曲家、佐藤敏直の《黄と黒の季節》、《八月の鎮魂》です。1936年生まれの佐藤は戦争を経験しており、両曲はそれを連想させる雰囲気をもっています。一種グロテスクですが不思議と落ち着いた無常の感覚に浸らせてくれます。その独特の感性を脇さんは的確に表現されていて、充分に伝わってきました。第3曲はラフマニノフの《楽興の時》Op. 16の第1番〜第4番。寒く荒涼としたロシアの地、作曲家の悩ましい姿をラフマニノフらしいセピア色の音色で弾かれました。

 休憩をはさみ、ステージに登場した鈴木さんは気さくなスマイルを見せてくださりました。愛嬌のある方ですね。しかしひとたびピアノの前に座ると、その集中力に圧倒されます。第1曲の武満徹『遮られない休息』より「愛のうた」はたったの13小節という短さですが、凝縮された音の世界を聞かせてくれました。第2曲はドビュッシーの前奏曲集より「月の光が降り注ぐテラス」です。鈴木さんの演奏は、感情をむき出しにせずあえて抑えているように見えます。その計算された無感情さがミステリアスで、引き込まれていきます。第3曲はリストのピアノ・ソナタロ短調。長大で精神性の高い楽曲ですが、カオス(混沌)からさまざまなものが生まれてくる気配、そういった創造性を感じた演奏でした。

 アンコール演奏では、お二人の連弾が聴けました!息ぴったりに始まった1曲目はお二人とも本当に楽しそう。更に2曲目ではお二人の意気投合が高まり最高の終わりになりました。

 終演後はご学友たちと楽しいひとときをお過ごしでした。お二人の今後のご活躍に期待しています。

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