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KSCO
武田博華 箏・三絃リサイタル
《東京藝術大学卒業生 新進演奏家シリーズ Vol.3》
2008年
9月26日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 東京藝術大学卒業生 新進演奏家シリーズvol. 3 の今回は、武田博華さんの箏・三絃リサイタルです。いつもはグランド・ピアノが主役のステージですが、今日は赤い布の壇が用意され、ちょっと違った雰囲気です。ここパウゼでピアノ曲を聴いてきた筆者は一段と緊張…。聞き手の年齢層は高く、落ち着いた空気の中、開演が待たれました。

 壇上に箏が2台置かれ、会場全体の照明が落ちると、武田さんと助演の横山さんが登壇し、演奏の場所に座られます。一曲目は筝曲『嵯峨の秋』。本手を横山さん、替手を武田さんが演奏されます。平家物語の小督の局が想夫恋の曲を演奏する様子を描写していて、「さらでだに」の強く芯のあるお声で始まりました。演奏をしながらの歌唱ではありますが、替手の旋律を演奏する手の動きもダイナミックでありながら繊細で、特に低音域はとても深く心地よい響きでした。

 楽器が変わって、二曲目は三絃のソロ『盤渉調』でスポットを浴びた武田さん。うすい水色のお着物がいっそう美しく舞台に映えていました。最初から最後まで三絃一本なのですから、このリサイタルのメインといってもよいでしょう。曲の特徴は、三絃の奏法の最大の特徴である、同じ音高でも奏法を変えることで幾通りもの微妙な音色・音質を作り出すという点を生かしていることだと思います。押えて出す音と開放弦の音が、同じ音名でも、全く違う色合いを出していることは素人耳にも明らかでした。またサワリの共振音がよく響き、いいリズム感を生み出していました。

 「秋」にちなんだプログラムということで、三曲目は『秋篠寺』です。尺八と共に、箏を演奏されました。序、春、夏、秋、冬、結の歌で構成されています。春雨がしとしと降る様子、もみじが散る秋の憂いなど、季節の情景は切ないほどに伝わってきました。

 最後は二つの箏と三絃による『住吉』です。武田さんは三絃を演奏されました。ここではお三方が単独で、あるいは合わせてお歌いになります。その交替はにぎやかで楽しく、まさにおめでたい感じの曲でした。合奏の中で声を合わせて斉唱するところでは、太い音のラインがひときわ力強くなり、それでいて心の機微を捉えるものでした。

 演奏を終えると武田さんご本人がご挨拶されました。お若くして実力をもっておいでですから、今後のご活躍がとても楽しみです。

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