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伊藤 伸 ピアノリサイタル開催レポート
《2007年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ Vol.4 》
2008年9月19日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

伊藤伸さんは現在、桐朋学園大学4年に在学中の若手ピアニストです。既に日本音楽コンクールなど数々のコンクールに上位入賞を果たしており、これからの活躍がますます期待されます。今回は前半シューベルト、後半ラヴェルからなる意欲的なプログラム。演奏者に高い技巧と深い音楽性が求められる作品が並んでいます。充実したプログラムを伊藤さんがどのように弾きこなすのか、期待が高まります。

すらりとした長身の伊藤さんが登場し、まず弾き始めたのはシューベルトの「ピアノ・ソナタ変ロ長調D.960」。シューベルト最後のソナタであり、深い叙情性をたたえた傑作です。この大作をプログラム冒頭にもってくるあたり、伊藤さんの自信と意気込みが伺えます。伊藤さんはこの美しく長大な作品を、高度な集中力で弾ききりました。第1楽章の天国のような優しい響き、第2楽章の絶望、第3楽章の軽やかな踊り、第4楽章の壮大なフィナーレに至るまでの道のりはまるで音の旅をしているよう。聴き応えのある演奏でした。

休憩を挟んで、後半はラヴェルのプログラム。最初の「前奏曲」から、優しい響きが会場に広がります。伊藤さんの軽いタッチがとても美しかったです。続けて「ハイドンの名によるメヌエット」。美しくもどこかメランコリックな響きが印象的でした。「シャブリエ風に」と「ボロディン風に」もそれぞれ、美しく軽いトーンで歌い上げました。

プログラム最後は「鏡」全曲。まるで音を聴いて情景が浮かんでくるよう。第1曲目の「夜蛾」では、高度な技巧を駆使し、蛾の動きを巧みに表現。また第3曲目の「洋上の小舟」は、波のような美しい高音部の伴奏に主旋律が浮かび上がり、見事でした。最後の「鐘の谷」では、タイトル通り鐘の音色を浮き立たせながら、静かに歌い上げ、曲を締めくくりました。

鳴り止まぬ拍手に応え、アンコールにはドビュッシーの「花火」を演奏。急速なパッセージを確実に弾きこなす伊藤さんの技量はさすがです。続いてアンコール2曲目には「聖母の御子」という曲を演奏。これはカタルーニャ民謡をリョベートというギタリストが編曲し、更にそれを伊藤さん自身がピアノ用に編曲したものだそうです。非常にシンプルながらも心地よい響きは、演奏会の最後にピッタリでした。

高い技巧と繊細な音楽性を持っておられる伊藤さん。今後はどのような曲を聴かせてくれるのか、今からとても楽しみです!

 沢山の女性ファンに囲まれて。

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