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KSCO
松原賢司 ピアノリサイタル開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.6 》
2008年9月5日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 《東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサートVol. 6》、本日のピアニストは2006年に大学院を修了された、松原賢司さんです。超満員のお客様が集まる中、前半はショパン、後半はスクリャービンという構成で、コンサートは進められました。

 はじめの《4つのマズルカ》Op. 68は、ポーランドの民族舞踏であるマズルカ独特のリズムが印象的に刻まれていました。特に2、3曲目は似たフレーズが何度も繰り返される、比較的単純な音楽の構造をしているのですが、フレーズごとに色合いが変化し、全くあきさせない表現でした。また、《ノクターン》Op. 55-2での豊かな叙情性も、非常に心地良く響きました。そして前半のクライマックスは、やはり大曲《ソナタ第2番》Op. 35でしょう。第1楽章は高い集中力と推進力で、ドラマティックに仕上げられていました。また有名な「葬送行進曲」の第3楽章は、行進する人々の重い足取りを彷彿とさせるリズムの伴奏と哀愁ただよう旋律、そして中間部の穏やかな美しさの対比が、実に見事でした。

 後半はスクリャービン。前半と同様、マズルカ、ノクターン、ソナタという順です。《左手のためのノクターン》は、あまり聴く(そして観る?)機会の多くはない作品かと思います。左手だけ、つまりたった5本の指でピアノの鍵盤上を動き回り、旋律と伴奏とを弾くわけです。ここから織り成される美しい音の綾に、聴き入るだけでなく思わず目を見張ってしまいました。演奏の後には大きな拍手と、そして感嘆の声があちこちから聞こえてきました。最後の《ソナタ第5番》は、本日演奏された曲の中で、最もスクリャービン独自の音楽語法が聴かれる作品です。古典的な調性はなく、スクリャービン独特の和声が絶妙なバランスで響き、恍惚的な雰囲気に包まれて、コンサートは終了しました。

 スクリャービンは、とりわけ初期の作品においてショパンの影響が強いということはよく言われますが、こうして並べて聴くとそのことを改めて実感することができました。興味深いコンセプトによるプログラムと質の高い演奏で、素晴らしい一夜となりました。

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