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三宅麻美 ピアノリサイタルシリーズ(全3回)開催レポート
Rythms of the earth 〜 vol.2 天空の仕業
2008年9月3日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 三宅麻美さんのリサイタルシリーズ、第二回の今回はRhythm of the earth〜天空の仕業〜と題され、「水」を主題にもつ作品を中心としたプログラムです。古典派、ロマン派、現代それぞれの時代を通じて地球の美しい青色を味わうことができました。

 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ《テンペスト》で始まると、とても繊細な音世界が繰り広げられました。ピアノ曲でありながら、オーケストラの音色を丁寧に作り上げ、立体感ある輪郭が描かれました。特に第3楽章の高音域が織り成すパッセージは、静謐な、しかし奥ゆかしくやさしい表情を描き出していて、聞き惚れていました。

 リストでは《エステ荘の噴水》、《聖フランチェスコ》でまさに水の生き生きした動きを描写。《エステ荘》を通じて噴水の放物線を描く、両手のアルペッジオの音色は、誰もがハープの演奏と聞き間違えるほどの、完全に美しいシェイプとなって余韻たっぷりに魅せてくれました。

 休憩をはさみ、後半は武満徹から始まります。《雨の樹 素描》は「I」と「II」では全く異なる雨の表情をあらわしています。前者が雫のぽたぽた落ちる動きに焦点があるとすれば、後者は雨上がりの月夜のような周りの静かな様子を感じさせます。三宅さんは本当に丁寧に、雨しずくのみならず(武満の言うような)自然の音を、互いに調和させながらそこに生かしています。安らかで至福の時は永遠に続くかと思われました。

 おしまいは、惜しいほど短時間で現れて去っていくドビュッシーの前奏曲たちです。港(『帆』)、草原(『野を渡る風』)、一種けだるいような夕暮れ(『音と香りは夕べの大気のなかに漂う』)、きぃんと寒い孤独感(『雪の上の足跡』)、異国への憧れ(『亜麻色の髪の乙女』)、大西洋の嵐(『西風のみたもの』)・・・これらが美術館のタブローみたいに並んでいます。絵に見入っていると、細かい情景やストーリーが頭に流れ込んでくる、そんな体験と同じでした。《喜びの島》では彩り豊かな描写と、ダンスの楽しげな様子が表現されていました。

 海のような青色のドレスに包まれた三宅さんは優しさに満ちていて、聴衆の期待に喜んで応えてくださいました。ショパンの《雨だれのプレリュード》と《エオリアン・ハープ》をアンコール演奏。青の深みにたゆたう悠久を全身で感じ、その余韻にいつまでも浸っていたい・・・そんな演奏会でした。

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