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大野真由子 ピアノリサイタル開催レポート
《東京藝術大学卒業生 新進演奏家シリーズ Vol.2》
2008年
8月1日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

優れたピアニストは皆、その人ならではの音色で聴き手を魅了するものですが、大野真由子さんもまた、独自の音色を持ち合わせてらっしゃいます。今回はシューマンが中心のコンサートでしたが、大野さんの優しく、丸みを帯びた音色は、幻想的で夢見心地なシューマンの世界に特に合っていたといえるでしょう。

最初の曲《ロンド》ニ長調K.485(モーツァルト作曲)では、優しい音色で情感たっぷりに歌い上げられました。この作品の愛らしい性格がとてもよく表現されていたと思います。

次の曲は《子供の情景》作品15(シューマン作曲)です。反復するフレーズでは、意識的に表情を変えるなど、曲の構造をよく捉え、巧みに表現されていたのが印象的でした。また、ピアニッシモの表現は特に素晴らしく、有名な〈トロイメライ〉では、夢見心地な世界に会場の聴衆も集中して聴き入っていました。

前半最後の《喜びの島》(ドビュッシー作曲)は、ドビュッシーが、フランスの画家・ワトーの《シテール島への船出》という絵画にインスピレーションを受けて作曲したといわれています。タイトルのとおり、華やかで喜びに満ちた素晴らしい作品ですが、演奏には非常に高い技巧が求められます。大野さんは素晴らしい技巧を駆使し、ダイナミックな演奏を繰り広げられました。

休憩を挟んで後半は、シューマンの《ピアノ・ソナタ》第3番へ短調作品14。後半はこの作品だけだったということもあり、特に気合の入った充実した演奏でした。高い技巧を駆使して繰り広げられる演奏はまさに「音のファンタジー」といえるもので、大野さんは聴き手をその世界にぐいぐいひき込んでいきました。大野さんの熱演に、客席からはひときわ大きな拍手が送られました。

アンコールには《アラベスク》ハ長調作品18(シューマン作曲)を演奏。有名な愛らしい旋律が、大野さんの優しい音色を通して会場に響き渡りました。美しく心地よい響きが印象的でした。

今回は大野さんの幻想的な「音の物語」を楽しめたコンサートでした。選曲も親しみやすく、聴きやすい作品が並んでおり、魅力的なものだったと思います。クラシック・ファンはもちろん、そうでない方も楽しめたのではないでしょうか。

これからもますますご活躍なさってください!

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