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日本ショパン協会 第241回例会
塩見貴子ピアノリサイタル開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.2》
2008年7月12日(土) 18:30開演( 18:00開場)
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
本日のコンサートは、日本ショパン協会の例会として行われたもので、猛暑の中、大勢の聴衆が駆けつけました。塩見さんは、イギリスやフランスで研鑽を積まれた、数々のコンクール受賞歴もお持ちのピアニストです。プログラムは、“現在最も心に近い存在”と語るシューマンとショパンで組まれました。前半は、シューマンの作品から《アラベスク》Op.18と《クライスレリアーナ》Op.16が演奏されました。シューマンの音楽の持つ幻想性が、よく感じられるものだったと思います。とくに《クライスレリアーナ》は、8曲からなる小品集ですが、それぞれの曲に見られるシューマンのほとばしる情熱や深い内面性など、各曲の性格の対比が鮮やかに描き出されていました。
後半は、ショパンの《ポロネーズ》第1番から第6番。しばしば演奏される作品群ですが、このようにまとめて順に演奏されることは意外に少ないもの。ショパンの「ポロネーズ像」を感じられる貴重な機会だったと言えるでしょう。全体の印象は、洗練された表現ということです。ポロネーズとは、もともとはポーランドの民族舞踊でありますが、ショパンによって芸術的に高めたピアノ曲としての魅力が、表現されていたと思います。フォルテの決して力任せにしない深い音色は、お馴染みの「英雄」などでも印象的でしたが、このサロンという空間にぴったりのものだったのではないでしょうか。アンコールには、ショパンの「子犬のワルツ」が軽やかに奏され、演奏会を締めくくりました。塩見さんは、非常に丁寧な演奏をされる方でした。それは、暗譜ではなく楽譜を見て演奏するというスタイルとも関係しているのかもしれません。彼女は、楽譜を見ないで弾くことよりも、作曲家の意図を伝え音楽を聴かせることの方が大事なのだと語っていました。作曲家が楽譜に込めた思いを、1音1音大事に聴衆へ届けてくれる、それが彼女の魅力なのでしょう。
終演後の様子。
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