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KSCO
佐藤彦大ピアノリサイタル開催レポート
《2007年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ Vol.2 》
2008年
7月1日(火) 19:00開演(18:30開場)

本日のピアニスト佐藤彦大さんは、第76回日本音楽コンクールの覇者で、現在東京音楽大学ピアノ演奏家コース3年に在籍中です。白のジャケットに身を包み颯爽と登場したこの青年は、弱冠20歳。しかしひとたびピアノを弾き始めると、第1音から彼が並大抵の20歳ではないと改めて気付かされました。

1曲目のバッハ《平均律クラヴィーア曲集》第1巻より第8番で際立っていたのは、何より音楽の深さで、特に前奏曲での瞑想的な表現は、息を呑むものがありました。フーガでは、端正に各声部が弾き分けられていました。モーツァルトの《ピアノ・ソナタ 第10番》Kv. 330は、軽やかに音楽が運ばれ、和声感豊かな、そしてモーツァルトのウィットも十分に伝える演奏でした。続く西村朗の2作で、雰囲気は一変。私はどちらも初めて聴いた作品だったのですが、独特な響きの世界に圧倒されてしまいました。《薔薇の変容》では、パッセージの多様な方向性、そして和声の刻々と移り行く色合いが印象的でした。《アリラン幻想曲》は、韓国の「アリラン」が自由にパラフレーズされた、ヴィルトゥオーソ的な作品です。途中からの開放弦(ダンパーを上げたまま奏する現代奏法)による倍音の効果は、神秘的な音空間へと聴衆を導きました。

後半は、ブラームスの《ピアノ・ソナタ 第3番》、5楽章からなる大曲です。ブラームスの音楽が要求する、深みや叙情性、そして溢れんばかりの情熱、とあらゆる要素を汲んだ、最後まで集中力を切らさない演奏は、さすがの一言。鳴り止まない拍手に、アンコールは3曲が演奏されました。ラフマニノフの《前奏曲》作品32−5でとろけるような甘さを、西村朗の《タンゴ》できりっとした音と軽快なリズムを、最後のブラームスの《ワルツ》作品39−15で再び甘い優しさをきかせ、ここでも表現力の豊かさを印象付けました。イマジネーションに溢れる演奏に、今後のますますの活躍が期待できるピアニストだと感じました。

 

ロビーの様子。

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