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久保 静(ヴァイオリン)& 冨永紘加(ピアノ)デュオリサイタル開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.1》
2008年5月28日(水) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

本日は今春桐朋学園大学を卒業されたお二人によるヴァイオリンとピアノのデュオ・リサイタルです。個人技もさることながら、息のぴったりあったデュオを聴けました。

前半はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ《ストリナザッキ》で始まりました。デュオ・リサイタルにふさわしく、このソナタはヴァイオリン、ピアノの両者によるかけあいによって構成されていて、演奏はまるでお二人ご自身の会話であるかのように親密なものでした。それでいてヴァイオリンは、この人のために書かれたストリナザッキ(初演時23歳)の姿が重なるほど確かなテクニックと豊かな表現力にあふれていたし、ピアノは、ヴァイオリンを支える以上の役割を果たしていたことを耳で理解することができました。

2曲目のイザイの無伴奏ソナタ Op. 27-3、ヴィエニャフスキの幻想曲Op. 20(ピアノ編曲版)では、いずれもヴァイオリンの非常に技巧的な側面をかいまみることができました。特に後者は通常用いられる音域をはるかに越えた高音をきかせるフレーズで、これほどの高音域がヴァイオリンから響いてくることに正直びっくりしたほどですが、決して違和感ではなく、ポーランド風の憂愁味を存分に身に付けた旋律と見事に同調していました。

3曲目のラフマニノフのコレッリ主題による変奏曲はピアノ独奏曲です。有名な《ラ・フォリア》の主題をもとに次から次へと、しかも徐々に華やかさを伴って様々に変奏されていきます。ちょっとした逸音(順次進行せず和音の構成音から逸脱した音)や、教会旋法(中世、ルネサンスの時代で用いられた音組織)を用いたラフマニノフの豊かな創作力は、冨永さんのおっしゃるように「望郷の念」からくるものであったのでしょう。とめどなく続くこの変奏曲は、明と暗、快活さと憂愁といった多彩な面をみせてくれますが、そのループにはまったまま抜け出せないのではと思ったところで、最後にやさしく《ラ・フォリア》のテーマで締めくくってくれました。

しかし、まだ《ラ・フォリア》は終わっていませんでした。第5曲のリストのスペイン狂詩曲です。曲の始めできこえてくる《ラ・フォリア》の低声部は、さきほどの変奏曲がまだ続いていた!と思わせたのです。このように曲間で関連づけのあるプログラミングは演奏家のウィットの現れ。まさに耳の知的楽しみですね。

  恩師と記念撮影。

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