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サウンド・ルート2008-II《東京⇔ウクライナ》 開催レポート
日本・ロシア音楽家協会、作品交流コンサート
2008年5月27日(火) 19:00開演(18:30開場)
会場:すみだトリフォニーホール(小)
“音楽作品によって国際交流を”というのが、この日本・ロシア音楽家協会主催の「サウンド・ルート」と題されたシリーズです。その中でも、ウクライナを取り上げるのは初めてとのこと。普段はあまり日本では演奏されないウクライナの作品、そしてもちろん日本の作品、しかもどちらもその国の音楽界の第1線で活躍されている作曲家によるものとあって、ホールにはたくさんの聴衆がかけつけました。
1曲目は、平井正志の《チェロとピアノのためのラプソディ》。美しくあたたかい雰囲気が印象的でした。続いてミロスラフ・スコリクの《弦楽四重奏曲》。厳しさのある第1楽章『ラメント』と、ジャズ風のフレーズも顔をのぞかせる明るい2楽章『ペルペトゥム・モビレ』との対比が鮮やかに描き出されました。前半最後は、高橋裕の六重奏曲《迦楼羅(かるら)》。静寂や間、そしてタイトルにある迦楼羅と龍の狂喜乱舞を想像させる勢いとで、聴衆を惹きつけていました。後半は、遠藤雅夫の《弦楽四重奏曲第1番》から。激しく、密度の濃い作品であり、それを十分に表現した演奏だったように思います。アレクサンドル・シチンスキーの《思索への道》は、緻密に構築された作品で、現代音楽の様々な手法が用いられています。例えば、最後のピアノの内部奏法(鍵盤ではなく弦を直接たたく)などによる消え入るようなディミヌエンドは、演奏者ばかりか聴衆も最大限に集中した瞬間でした。そしてコンサートの最後を飾ったのは、セルゲイ・ピリュティコフの《弦楽四重奏曲》です。非常に変化に富んだ、様々な音楽のスタイルが聴かれる、興味深い作品でした。
今回の演奏会の出演者は皆、東京藝術大学の学生や卒業したばかりというフレッシュなメンバー。技術的にも音楽的にも決して容易ではないこれらの作品を、しっかり自分たちのものにしている演奏は、さすがの一言でした。今後も彼らのような若い世代が、同時代の音楽を通して国際交流を深めていってくれることを願うばかりです。
5/27コンサート終了後のパーティ
コンサート終了後、今回招聘したウクライナの作曲家スコリク氏とピリュティコフ氏の挨拶、通訳は前日カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」で通訳と演奏をして頂いた、濱野与志男さん。関係者全員が集まりました。
リハーサルの様子
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